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  • Writer's pictureTomizo Jinno

映像制作にまつわる4つの誤解

Updated: Dec 25, 2023

①動画は情報量が多い

映像(画面)、ナレーション、音楽、効果音が時系列になってどんどん流れてくるので、情報量は多いように思えるけれど、このことをして「動画は情報量が多いから断然有利!」と謳うのは詭弁です。1枚のポスターに1分の映像と同等の情報を書き込むことはできるし、20秒のラジオCMで100人の出演者が同時に喋れば20秒の映像と同等の情報量を盛り込むことはできます。

もちろんこのようなポスターやラジオCMがあったとしても、何が言いたいのかわからないことは誰でも想像がつきます。映像もしかり。情報量を多くすればするほど、核心は見えなくなり、何がなんだかわからなくなります。映像コンテンツは情報の多さよりも、その情報の幅をどう有効利用するかが鍵です。

私たち映像制作者はだいたい15-30秒にひとつ程度のメッセージしか込めません。3分でひとつ、という場合さえあります。映像というメディアコンテンツの優位性は「事実」「意見」「関連情報」などを駆使したシーン構成やストーリーで、視聴者に得心がいく理解、納得をもたらすことです。単に情報の羅列や洪水では視聴者は納得できません。「圧倒」はできますけどね。私は圧倒は苦手です。


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②動画は短い方がいい

これは今や常識のように言われる映像制作の指針ですが、これも大きな勘違いから始まっています。

短い方が良いのは、興味がない人を惹きつけるための動画です。YouTubeのSugestionに現れたサムネイルを次々にクリックするような視聴スタイルの人には、サムネイルの画像と冒頭の数秒が勝負ですし、テレビ番組の合間に流れるCMも移り気な視聴者の目を惹きつける短時間集中型の表現が必須です。情報は短時間に効率的に伝えたほうがいい。しかし、よく考えてみてください、こられの視聴者対象は消費者・Consumer。つまりB2CのPR動画です。


B2BのためのPRビデオ映像を、たまたまYouTubeで見つけてクリックした視聴者があなたのビジネスに興味を持つ・・・のは期待しすぎです。B2BのためのPRビデオ映像は、興味がない人を想定するよりも、視聴してくれた中でも、その商品やサービスにぴったり合う人をスクリーニングするために使用する方が効果的です。

私は、B2B映像は「数打てば当たる」ためではなく、「見てくれた人の心を掴む」ことが使命だと考えています。せっかく興味を抱いて見てくれた視聴者に、過不足なく期待される情報を提供するには5分かかるかもしれないし、10分かかるかもしれません。でも、最後まで観てくれた視聴者は、その時点で確実にファンになっている映像をつくることを、いつも念頭に置いています。こうした視聴者を確実に購買や契約に結びつければ投資(映像制作)対効果は大きなものとなります。ですから、単価が低い商材には向かないとも言えます。薄利多売のために映像を使うならば、ネット広告であってもマスメディア(テレビ)に近い視聴者数がある媒体を使わないと効果は出ないと思います。

なお、B2BのPR動画を「クリックしてもらう」「コンバージョンを得る」には、ホームページのSEO対策やマーケティング対策、時には有料広告が必須です。


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③動画づくり=編集

弊社のホームページを見て、毎日のように何通もの「動画編集お手伝いします」というフリーランスの方の売り込みメールをいただきます。またFacebookの広告にも「あなたも動画編集者になれる」というようなセミナー?教育プログラム?が数多く流れてきます。そしてクリックしてみると、「編集=動画(映像)制作」と勘違いしているような表現が散見できます。これらは動画クリエーター(YouTuber)になりたい人たちを取り込むための方便だと思いますが、映像編集ができたところで、ましてやインタビューのカット編集やテロップ入れ程度のことができても、映像クリエーターにはなれません。編集技術自体もその何百倍もあるだけでなく、映像クリエーターならば編集する素材の方が肝心です。良い映像素材なくして良い映像作品はあり得ません。良い映像素材を撮影する方法を知っている、あるいは撮影できる。良いアニメーション素材を作成する方法を知っている、あるいは作成できる。さらにそれ以前に企画やシナリオという自らの「発意」、それらがあって次が編集です。編集は映像制作のほんの一工程にすぎません。

角度を変えて。

近年、映像制作経験が少ない人がシナリオを書く例が多くなりました。そこで多いのが「絵がないけれどどうするの?」という壁です。「絵」とは具体的に撮影やCGで作成できる映像のことです。

言いたいこと、伝えたいことなんだが、それを伝えるための絵(映像)が思い浮かばない・・・、または浮かんでも、その絵(映像)を撮影する、作画するには大きな予算や期間が必要になり現実的でない・・・。そういう時、我々プロダクションは実現可能な代案を提案しますが、「(実現不可能な映像を)なんとかなりませんか?」と言われることもシバシバ。多くは「編集でなんとかなりませんか?」と言われます。編集は世にない世界を創り出す魔法ではないので、無理なものは無理です。


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④映像=マスメディアコンテンツ

映像コンテンツといえばテレビ放送される番組やCMを連想する人が多い以上、仕方がないかも知れませんが、これは明らかに間違っています。テレビ放送はマスメディアであり、同時に何万、何十万人もの人が視聴しているところに突然現れ、好むと好まざるとに関わらず視聴させることができます。いっぽうパソコンに保存された動画ファイルやWEB上に掲載されている動画を視聴するという行動は、(1)たまたま目に入ったサムネイルやタイトルが気になってクリックした。(2)意図的に開いたページにあった動画を視聴した。(3)検索してみつけた動画を視聴した。(4)自分の意思でパソコンに保存して視聴した。これら4通りの流入ルートです。これらはパーソナルコミュニケーションです。

当然、その動画の内容は、そのことに興味がある人が視聴者であることを前提として企画・制作されるべきだと思います。一般視聴者に理解される平易なものよりも、訴求対象に刺さる表現で作った方が効率的です。具体的には「視聴者ひとりひとりに向けた手紙を書く」つもりでつくればいいのです。

マスメディアコンテンツとは一線を引く潔さが求められます。


映像は情報量が多い!?

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