- 株式会社映像設計 代表取締役プロデューサー 神野富三
「動画は情報量が圧倒的に多い」は本当か?
Updated: Jun 5, 2020
嘘ではない
「画像が連続的に変化している」
「画面に文字が入る」
「音でも言葉が伝えられる」
「音楽で情感が加わる」
きりがないくらい情報をてんこ盛りできるコンテンツ、それが動画である。
確かにそうである。
よく考えてみてほしい
画像、文字、言葉(声)、音楽が、すべて異なる意図をもった情報を持っていたなら、たしかに情報量は4倍だ。
けれど、それぞれが別な意図を持っていたら、視聴者は意味がわからないと思わないか?
では、同じ意図を持った情報を4つ重ねたら、情報は4倍だろうか?
いや、違う。
情報は1でしかないが、その圧力が4倍になるのだ。
ただし、ただ重ねればいいというものではなく、互いの情報が効果的に相手の情報を盛り上げる働きをしてこそ、ボルテージやインプレッションが高まるのだ。
映像を企画する
優れたシナリオライターや演出家は知っているのだ。
ほんとうに情報をてんこ盛りにすると、何にも伝わらないことを。
相互に気持ちよく共鳴しあったり、伏線となって初めて、映像と音の競演、饗宴、共演となることを。
絵コンテは曲者
BtoB映像の制作工程では、絵コンテによってお客さんと製作者の意思疎通、確認を行うけれど、「絵コンテに必要な情報が全部入ってる!」ということで「OK!」を出してはいけません。
絵コンテに情報が全部入っているからOK
という判断は、とにかくやめたほうがいいです。
いっぺんに情報を投げられても、視聴者はついていけません。
目と耳が置いてきぼりにされること間違いなしです。
人間の目や耳から入った情報を理解するのは脳みそです。
絵コンテからはその前後のコマの流れ、そのコマの画像の背後で流れている言葉、音楽が効果的にシーンの意図を伝えているのか・・・そこを読み取らなくてはいけません。
隅々までしっかり見て、読んで、想像してください。
人の理解のスピードはゆっくり歩くくらい
人間の脳みそが気持ちよく情報を理解するスピードは、プロのナレータが噛んで含めるようにしゃべるスピードで読む原稿、その原稿のテキストの情報量/時間が、ちょうど人間の理解のスピードだと思ってください。
優れた映像は情報量は多くないが伝わる強さが違う
映像や画面の文字、音楽は、その情報の理解をアシストする、ないしは水先を案内する伏線としての役割を果たしている、そんなくらいでちょうどいいのです。
