映像屋は難しく考えすぎる傾向があるけれど
こちらの映像がそうであるように、ほとんどの学習教材ビデオは、こうして先生を1ショットで捉えて、先生が授業(講義)をしている様子を撮るだけというスタイルです。
撮った映像を「切って」「繋いで」「タイトル」「字幕」を入れる程度の編集で済みます。
ちょっと予算があると、ここにCGやアニメで動く図解が入ったりします。
ところが、学習教材としての映像を制作したい!と映像制作会社に相談すると、多くのプロデューサー、ディレクターは、こうした企画では申し訳けないと考え、学習内容を模擬的に実験して見せたり、ロケをして実証映像を撮ろうとか考えて、制作見積書はどんどん大きくなります。発注者にとっては大幅な予算オーバーなので、結局その制作会社には発注せず、自分たちでコツコツ作ろうという流れになります。
映像のプロは学習とか解説とかいうと、すぐにピタゴラスイッチ(NHKの番組)みたいに、映像を作り込みたくなってしまうのですね。
だって、先生のワンショットを撮るだけで、せいぜい字幕を入れるだけ、というのではそのくらいのことは今時プロじゃなくもできますし、内容の良し悪しは90%先生の良し悪しで決まっていまうからです。ディテクターは単なる現場監督兼編集マンになるだけ。「せっかく映像作るなら、映像の力はそんなことじゃない」と考えちゃうのですね。
実際、今日シェアした映像も先生の力が80%で出来上がっていると思います。
ただ、この映像の場合20%はディレクターが手慣れているというか、経験がけっこうあって、ツボを押さえたタイミングで文字を出し消ししていることと、先生の喋りをどんどんつまんでいる(無駄な言葉や間を削除しちゃってる)ところです。
これによって視聴者は、言っていることがすんなり入ってきます。リズムよく進行するって、授業にはとっても大事。冗長感は学習意欲がすぐに下がります。
たんなるワンショットで先生を撮る学習教材であっても、ちゃんと工夫するスタッフで作った方が、やっぱりいい。という事例ですね。