昔はカメラが回せる、編集ができる=映像がつくれるだった
シチズン、しかもバーゼルショーのための映像。
弊社も作っていたんです、20年前は(笑)
当時はまだ撮影も編集もアナログ、つまりテープ収録、テープ編集。
編集技術のいちぶにデジタルが使われていたけれど、特殊な編集や3DCGの制作過程だけ。
だから、時計などの仕組みやデザインを表現する3DCGがちょっとかっこよく作ることができれば「すごい!」と言われたものです。
このフルCGの動画の中にもあるような、時計をパーツを全部分解して、レイヤー状から1つこの時計に収斂していくような映像は、当時も定番の「時計表現」でした。でも、この映像に比べたら笑ってしまうような粗っぽい画像でした。
現在のスタンダードを解像度1,920×1,080(FHD)として、この技術進化によって当時と今、何がいちばん大きく違うかと言えば、それは「デザインの表現力」。
640×480の世界では「デザイン」に制約が多すぎて、極論するとデザインなんか表現しようが無かったけれど、FHDになるとデザイン抜きには表現が完成しないのです。
しかも画面の情報量も約7倍になる。
このことが何をもたらすかというと、当時に比べて7倍の情報精度が求められるということ。言い換えると、当時は今の7倍いい加減な理解で映像を作ることができたけれど、今は当時の7倍ちゃんと勉強して理解しないと、映像が作れないのです。
よくわからないですよね、こう書いても。
簡単に言えば、バカでは作れないということです。
映像を作る「技術」以前に「知性」と「デザイン力」が必要。
さらに表現が抜き出るための「アート感覚」も無ければ、解像度の高い映像はむしろダサくなります。
ここまでの領域になると、その領域に特化したクリエーターさんたちの手を借りなければ手が出ません。