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  • Writer's pictureTomizo Jinno

志村けんの映像と死の「リアリティ」

世代によって異なるキャライメージ

荒井注さんをご存知の人と、そうで無い人では志村けんさんのイメージは随分異なるのではないかと思う。志村けんはザ・ドリフターズに荒井の後任としてレギュラーメンバーになり、のちにピンではむしろ先輩メンバーの中では最高位の人気を得たコメディアンである。

もともとはドリフターズの付き人だったっけかな。

ショッキングな死

あの志村けんがすでに70歳だったことには驚いたが、今回の新型コロナウィルスに倒れ、瞬く間にお亡くなりになったと聞いて、それこそ「絶句」した。

そして同時に、どうして絶句するのか考えずには居られなかった。


画像、映像がない人の死

そうなのだ、これまでニュースで「本日、死者は50人に達しました」と伝えられても「ああ、そうなのか」としか思わなかった。お亡くなりになるのがほとんどがお年寄りだから。中には若い方もいるということは知っていても「少し寿命が短くなって気の毒だったね」。

多くの若い人はそう思う程度だろうと思っていたが、なんとこの自分もかなり「他人事」と思っていたことに気がつき、愕然とした。自分だってもう若く無いのに・・・。


映像がある人の死

ところがどうだ「志村けんが死んだ。」

そう聞くと、この新型ウィルスによる死が、ものすごくリアリティを持って迫ってくるのだ。どうしてなのか?

志村けんとて、他人だし、ましてテレビの中の人なのに・・・。

ひとつには、彼がとても生命力に溢れたキャラクターだったこともあるだろうが、何よりも大きいのは「永く知っている(顔を見てきた)人」が「アッけなく」死ぬということかも知れない。映像が蘇ってくる対象が死ぬのはリアルだ。


リアリティの大きな差

かつての夏目雅子さんや小林麻央さんも若くして逝き、その死に本人や家族の無念さを想ったけれど、このオヤジの方は無茶苦茶リアリティがある死なのだ。

「すぐそこにあるかも知れない死」

「自分にもやってくるかも知れない死」

かつて僕も、画像診断で肺癌を疑われて1週間、絶望のなかで死の準備をしたことがあったけれど、あの時の感覚とも違う。

こんな経験は初めてだ。

このウィルスは人を殺す。

このウィルスを人に移してはいけない。

だからこのウィルスに罹ってはいけないのだ。

殺人者になるかも知れないという恐怖

リアリティの根底にあるのはこれかも知れない。

もちろん、知らぬうちに罹ってしまったものは仕方がないが、不用意に無自覚に感染の可能性のある環境に出向いては絶対にいけない。


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