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  • Writer's pictureTomizo Jinno

会社は学校ではない〜映像制作会社にとっての社員

4年以上前に書いた文章が出てきた。読み返してみると、随分時代は進化したし、更に今の新型コロナウィルス渦によって、人心は更に変化しつつあるように思う。書いた当時は巷の思想をズバリ言い当てていたように思ったけれど、今ではもう古くなった感じ。若者たちはもっと強かになった。


【2016年1月28日記】 表題のセリフよく耳にしますが、どうも僕は勘違いしていたようです。

これ一般的には「会社は社員に(仕事のやり方とかを)教える義務はない」という風に理解されているようですね?

これだったら、社会で賛否両論出ること僕も納得できます。

会社が社員に仕事の仕方を教えることを面倒がるのは、ちょっと怠慢というか、映像制作会社が新人に自社の仕事の仕方を教えないんじゃ、プロダクションとしてのアイデンティティが確立できません。

子どもの特権

さて、僕がどう勘違いしていたかというと・・・。

学校(義務教育)というのは、子供が周り(先生、学校、家庭、社会)に対して、一方的に与えられること(成長する。生きる。)を主張することが許されるところだ。と僕は考えていました。

子供は自分の成長のためならば、無尽蔵に知識を要求していいし、スポーツをできる環境を求めていい。子供の未来のためには、喧嘩をして人を傷つけても一度くらいは「ごめんね」で許してあげてもいいし、少々法に触れたことをしても更生を期待して執行猶予をあげてもいい・・・。

一方的な要求の権利と非行に関する処罰の猶予。

うまくできなくても、なにかをしなくても、まわりが待ってくれる。それを社会全体で負担する。これぞ子供の特権だと。

会社も学校?

「会社は学校ではない」という言葉を思い出したのは、SMAPの解散騒動で、いろんな人の発言がネット上を賑わせていて、その中に「自分たちが育てた子どもたちが、立派に自分の生き方を見つけ自立する。これは、嬉しいことであるはずなのに・・・。」という記事に多くのひとが「いいね!」しているのを見て「え?所属タレントは子供なの?」と思ったことがきっかけでした。

タレントプロダクションという会社は、無価値であった人に芸をつけて、営業して、多く関係者が情熱を注ぎ込み、ブランディングして「スター」という世に一つしかない商材を創り出します。普通の会社設備と違うところは、それが人間という生身で感情を持っていること。だから会社はとても気を使い、気分よく働く環境と潤沢な経済と引き換えにします。これがタレント(会社)とプロダクション(社員)の「契約」です。これは、大人の社会の常識だと思うのですが、違うでしょうか。タレントは自分ひとりの力でスターになったのでしょうか!?マネージャーは会社の看板なしに力を発揮できたでしょうか?

会社が投資して設備した資産である「スター」を手放すということは、会計上でみれば本人に対する無形資産の無償譲渡となり、特別損失として計上する類の損金です。ただ、今の日本の会計上は人(スター)に関する「のれん」を無形資産として計上する方法は無いと思うので、現実的には決算書に載ることはないでしょう。

価値の無償譲渡は税金掛かる

まぎれもない営利会社であるタレントプロダクションが、自社の資産であるタレントを無償譲渡(特別損失)しなくてはならない理由はなんでしょう?しかも、本人の譲渡益には課税されない・・・。

日本における世間一般の感覚では、ひとえにそれは、その資産が人という自我を持っていることに由来するでしょう。しかし、会社にとっては経済活動におけるりっぱな損失です。株主がいれば、その事態を容認した経営者は賠償請求されるかもしれない一大事です。それを「本人たちの意思だから」で片付けられる問題として考えるのは、甘くないですか?

「自分たちが育てた子どもたち?

が卒業していく・・・嬉しいことであるはずなのに・・・。」という考え方は、社員は子供であり、まさに会社は学校と同じであるという発想に基づいています。ちょっと待ってください。社員は子供ではありません、りっぱな大人のつもりで雇っています経営者は。本人も大人としての待遇求めているわけですから。

どうも組織というものは自分に対して一方的に奉仕するもの、一方的に権利を主張する対象と勘違いしている人が多い。これも「甘い」! 組織に対する自分の貢献以上に見返りを要求するのは、会社であろうと社会であろうとフェアではない。それは経営者と社員という間での公平感だけでなく、社員間における不公平にもなる。ここが大きい。事情がある社員だけに重点配分することはできない。

「会社は学校ではない」

という意味を、ここまでの文脈に置き換えれば「社員は子供ではない」ということです。

親が扶養義務を負う子供からあれこれ奪われるのは、当事者同士の問題ですが、会社の雇用関係は大人の契約であり、しかも日本では労働三法によって多くの権利が守られています。


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【2020年6月22日記】 読み返してみると、最後のあたり、今の若者は自覚していますよね。


会社は学校ではない〜映像制作会社にとっての社員


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