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  • Tomizo Jinno

②初回打合せ〜契約

この業界でも契約書を交わすことが多くなってきました。 とくにインターネットを通じて取引実績がない、面識がない業者に制作を発注される場合は、制作内容や金額について齟齬が生じないためも、できるだけ客観的なカタチでエビデンスを残したいとお考えになるのも当然だと言えます。

ところが実際には、広告代理店との取引で多いのですが、書類はカタチだけで、請け負う作業内容は発注(受注)後に詰めていく・・・というパターンが今も多いのが実情です。これには映像ソフトというプロダクツならではの特性(後述します)があるからです。


2パターンの契約方法 映像制作業界には、契約内容を詳細、正確に記述した「ちゃんとした契約書」と、納品物の名称、金額、納期だけを取り決めた覚書き程度の「発注書」の2種類があります。後者は取引が継続していて、双方の信頼関係が成立していることが前提になります。一般企業のお客様が初めての映像制作会社と取引を始める場合は「ちゃんとした契約書」が良いとおもます。 「映像ソフト」をどう要件(仕様)定義するか 工業製品のようなカタチのある商材ならば、ある程度客観的な仕様を定義することができます。またコンピュータソフトのように、社会的にオーソライズされた業務は、広く認知された要件定義ルールがあります。しかし、映像制作業界には「標準仕様」というような概念はありません。では、映像ソフトの要件定義書に代わるものは何でしょうか? それは「シナリオ」です B2B映像ソフトのシナリオは、通常大雑把に言って「シーンごとの映像の内容」「その映像に対応するナレーション・音楽・効果音」について文字で記述した書類です。そこからは、「何を撮るのか」「どう撮るのか」「イラストなのか」「それが動くのか」といった情報が読み取れ、それらが時系列に繋がっているので、読んだ人が、その人なりの映像を思い浮かべられるものです。と言い切ってしまうと「人によって思い浮かべる映像は違うでしょう?」と反論されることでしょう。 映像設計はこう考えています。 「私たちはお客様がシナリオを読んで思い浮かべる映像が、お客様の期待に沿った映像であるようシナリオを書き、その期待を上回る映像を納品する自信がある・・・そういうシナリオをつくります」 シナリオを仕様化する 提案したシナリオから映像をつくるために必要になると予想される、撮影日数、準備資材、編集技術などの項目(仕様)を洗い出します。ここにもかなり主観が入ってしまいます。シナリオが主観によって読み方が異なることを認めた上に、「この撮影には1日かかる」とか「この編集には時間がかかる」という計算は、経験的な知見と目指す品位によって係数が違ってくることを認めなくてはなりません。 そして、想定した仕様に対する単価を積算して、見積書をつくります。 ただし、これは経験的に感じているのですが、他のプロダクションでも経験値が似ているプロデューサーが見積書(仕様)を書くと、だいたいよく似た数字になる、といういうことがあります。経験値が少ない人ほど、安直に考える傾向があります。 要件定義書「シナリオ」の作成にも費用が・・・ 映像制作請負契約の締結において、最大の矛盾がここに露見します。シナリオがないと仕様が決まらず、仕様が決まらないと見積もりができません。

シナリオというのは建築で言えば「設計図」に近いもので、その作成には1週間、2週間掛かることも珍しくありません。見積明細書にもちゃんと項目が定められていて、10分くらいの映像シナリオであれば、10万円とか20万円くらいになります。

しかし、まだ契約書は交わしていません。シナリオを提出した後に「今回は見送ります」となると、プロダクションは大損害となります。そこで、先ほど書いた、広告代理店との覚書き程度の契約書、という習慣が定着しているわけです。

広告業界では「この金額と納期で発注します」「制作内容はその金額と納期に見合ったものにしましょう」ということで、ともかく仕事に取り掛かってしまわないと、納期に間に合わないことが常態化しているからとも言えます。 クライアント「見積書をもらわないと発注するかどうかは決められない。」 プロダクション「シナリオがないと見積書がつくれない。」

さて、この永遠の課題を弊社が、どう解決しているかは、また次回。