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  • Writer's pictureTomizo Jinno

BtoB映像制作におけるSocial-desirability bias

映像制作業を営む者として、シナリオライターとして、認知バイアスの研究に余念がない僕ですが、この呼び名は初めて知りました。

リンク先にあるように“調査に回答する者が、人から好意的に思われようとする傾向“のことです。例えば「あなたはお金持ちですか?」と対面で問われれば、多くのお金持ちが「私はお金持ちではありません」と回答する・・・そういう傾向は誰でも気付いていると思います。多くの人が、自分の属している社会には「お金持ちは妬まれる(好意的に思われない)」という暗黙の共通認識がある、そう理解しているからです。この質問が非対面、匿名回答というカタチであれば、この調査の正確性はアップするだろうことも、理解できます。


隠れトランプ

前回の大統領選挙で、調査結果がまったくアテにならず、調査会社が大ブーイングを受けた理由は、隠れトランプを見抜けなかったからでした。でも、学問的にも成立しているような統計学、そのプロが考案した調査方法が、ああした大誤算を招きました。この社会的望ましさのバイアスのことだって、知っていてあたりまえのはずです。調査会社自身が社会的望ましさのバイアスに冒されていたのでしょうか?このバイアスは、排除しなくてはならない性向なのでしょうか?


「建て前」と「本音」

考えてみれば、「社会的望ましさのバイアス」が掛かるのは、人に「建前の人格」があるからで、対して「本音」を吐くのはその影に「隠れた人格」があるからです。20世紀末までの資本主義社会が標榜してきた民主主義は、前者の「建前の人格」によって理想的な社会を築き上げようとした社会でした。ところが21世紀に入って台頭してきた民主主義は、民衆の本音をすくいとるようなリーダーを求めるものになりました。ドナルド・トランプはその権化のようなタイプですが、この傾向は世界規模で進んでいるように見えます。

みなが本音をぶつけたところで、解がみつかるわけがない

本音はそもそも「感情」を含んでいるため、他人のそれとどれだけ調整しようと、しこりは残ります。時には長期間にわたる対立の火種になります。

それに比べて「建前」はもともと「感情を抑え、人が社会と調整した理解」です。つまり、本質的に他人との調整の余地があります。民主主義は、より多くの人が安寧にうちに暮らせる理想社会を目指す社会システムのはずですから、他人との調整、妥協は必要です。すなわち、建前を否定しては民主主義は成立し得ないもの。僕はそう考えます。

インターネットが炙り出した「本音」重視

言うまでもなく、本音重視社会の基盤・熱源となったのは、インターネットとソーシャルネットワークシステム(SNS)です。今のような無政府仮想社会とも言えるインターネット社会は、人間の善良な面よりも、本音の中の憎悪の面が強調されてしまうという構造的問題を孕んでいます。この弊害を排除する仕組みは、いまだに考案されていません。単なる検閲とか削除といった「対策」ではなく、「人間の暗黒面を増幅しない仕組み」自体が必要ではないでしょうか。


映像は善良でありたい

たとえ絵空事であろうと、社会が理想を求めるならば、理想を映像にして見せることには意義があるはずです。僕はそんな仕事がしたいと考えています。

愛知・名古屋の映像制作会社なら株式会社映像設計です。


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