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  • Writer's pictureTomizo Jinno

映像制作時の「映り込み」について

Updated: Jan 31

ビデオ撮影時に収録している画像に意図しないものが入って(映って)いることを「映り込み」ということは、業界外の人にもわかっていただけると思います。今日は様々な映り込みについて考察してみます。改めて考えてみたら、結構な種類があるんですよこれが。そして「映り込み」に対する考え方、感じ方も時代とともに変化してきていることに、改めて気づきました。 被写体に反射して映り込む 窓ガラスや金属製品にレンズを向けると、その表面に撮っているカメラやカメラマン、ほかの機材やスタッフが映っていることがあります。TV-CMや商品PRビデオでは、こうしたカットは昔も今も原則的にNGですので、角度を変えたり黒幕で遮ったりして映らないように工夫します。最近ではこうした作業が煩わしいので、予算があるTV-CMなどでは商品は3DCGで作ってしまうことが増えました。いっぽうロケもののテレビ番組では、こうした映り込みは今は全く気にしなくなりました。 ロケ隊が映り込む NHKの「ブラタモリ」では、メインカメラが出演者の動きや視線の向き、話の内容に応じて突然向きを変えることがしばしばあるので、そのたびに魚の尾びれのようにスタッフが右往左往する場面をよく見ます。NHKでさえそうですから、民放ではもうあたりまえになりました。これも昔はあまり見られないことでした。 ひとつには、昔は事前下見や打ち合わせをした後で撮影することがあたり前でした。あらかじめカメラが向く方向にはスタッフや無用な機材を置かないようにしていました。今はアポなしで取材する番組も多いことから、何が起こるかわからない現場ばかりになりました。 二つ目は今はカメラが安くなり、操作が容易でありながら高画質な映像が撮れるため、ロケ現場では何台ものカメラが回っているのが常識にさえなってきて、当然カメラがカメラを映してしまうことが増えたから。 もうひとつは、そういう撮影の舞台裏を見せると視聴者が喜ぶ・・・という制作者の誤解があるのではないかと思います。 テレビ番組ではロケ隊が映り込むことが容認されていますが、BtoBのPR映像では基本的にNGです。クライアントも快く思いません。試写時、ご担当の方が画面に映っている映像を上司の方が視れば「ここは削除して」と通常、言われます。 個人情報・マル秘情報が映り込む 「マル秘」などというのは赤いハンコを書類に押していた時代の言葉ですね。今は個人情報はもちろん、企業情報の漏洩はコンプライアンスとしてはもちろん、営業活動的にも致命傷になるリスクがあるため、オフィスでの撮影時などは「PCモニターにレンズを向けないこと」とか「デスク上の書類が映らないように」ということをよく言われます。これ、NTSC(640/720×480ピクセル)の時代なら「映っても読めませんから大丈夫」と言えたのですが、今は収録時4Kということも多いため、しっかり読めてしまいます。編集でボカすということも頻繁に行っています。 競合社の広告や製品が映り込む これは基本的に撮影時に避けますが、街のロングを撮ろうとするとビルの上にある看板などは避けようがないことも多々あります。いまは編集技術が進化していますので、ほとんどのものは修正(消す)で対応しています。ただ被写体やカメラが動いていると、その広告や製品も動いていますので、この動きをトラッキングしながら消す作業は、場合によっては非常に手間がかかる作業です。消さなきゃならないとわかっている時は、レンズを動かすのはやめましょう。また、消すと違和感ある映像になることもあります。注意が必要です。


通りがかりの人が映り込む

テレビ放送の撮影や生放送で、意図的にカメラ前に出てきて「ピース!」とやる人は、映りたい!という意図を持っていると思われるので問題になりませんせんが、撮られていることに気づかずに映り込んでいて、あとで放送やネットで本人や知り合いが気づくということがあります。顔がわかったり、第三者が本人と特定できるものが映っていたらプライバシーの侵害。それを本人が指摘すれば何らかの対処をしなくてはなりません。ですから、屋外で人通りがあるような場所では広告のための撮影をする場合、人を止めたり、エキストラを起用するしかありません。なぜだか報道目的の番組素材や教育目的だと制限が緩かったりします。

眼鏡レンズの反射 これは最初の「ガラスの反射」と同じことなのですが、最近はブルーライトをカットしたレンズが増えています。この眼鏡レンズにあたる自然光は反射すると青色になります。普通のレンズにあたる自然光では気にならないレンズへの映り込み(反射)が、青色ではちょっと気になることがあります。これは編集での修正が困難ですので、注意が必要です。


映像制作時の映り込みについて
ブルーライトカットレンズは青く反射する

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