WEB動画の再生数を競う時代はもう終わり!

WEB動画拡散至上主義の終焉
WEB動画は、公開初期の段階ではちゃんとターゲットを絞って視聴される場所(サイト)に置かれているものですが、再生数(視聴数)が至上命題となっている今のネット広告世界では、意図的に、またある時は意図に反して拡散が加速され、それこそ意図しない視聴者に視聴される機会が増えていきます。

 

最近、宮城県の観光PRのためのWEB動画で壇蜜さんが出演する作品が、性的であるとの理由で関係機関が公開取りやめを決定しました。多くの人が指摘しているように、あのドーガは性的である以前に、企画の稚拙さ、制作技量の低さが多くの世代の男女を不快にした事件でした。それでも視聴数が伸びていくことから、関係者はそれを「効果が上がっている」と解釈していたようです。観光PRは「地域のブランディング」でもあるので、悪いイメージが拡散することが旅客誘致に寄与すると考えるのは無理がありすぎます。一定の範囲の視聴者にはウケたようですから、それでよかったのでしょうか!?

 

ターゲットでは無い視聴者には逆効果

ところで、僕らB2B映像制作の仕事は、一般視聴者(オールターゲット)に向けた映像を作ることは稀で、だいたいがかなりセグメントした対象に対してコミットが得られるように企画し、制作します。

 

ですので、僕らの制作した企業映像作品(VPと呼ばれる非WEB動画)を訴求対象ではない友人や家族に見せると、よく「何これ長い!」とか「難しくてわかんなーい!」と言われます。それは当然のことで、その友人や家族は予定していた視聴者ではないので、予備知識がなかったり、別な先入観があったりします。もともと狭いターゲットを想定した映像は、無関係な人にはぜんぜん響かないのです。そう作ってあるのです。

 

これに対して、WEB動画のような映像は、どれだけコンテンツの流通ルート(媒体)を制御しても、インターネットは世界に開かれていますので結局オールターゲットが視聴してしまうことになります。どんな映像でも企画段階ではある程度ターゲットを設定してあるはずなので、ターゲットから外れた視聴者には「響かない」ばかりか「不快」「嫌悪」といった感情さえ引き起こしてしまうことがあるのです。

 

たしかにWEB動画は見られなければ始まりませんが、見られた挙句が悪印象を定着させるならば、マイナスにしかなりません。

 

どうして炎上動画が生まれるのか

僕が想像するには、ああした炎上事件に巻き込まれるWEB動画というのは、企画制作する人、それをジャッジする広告主も含めてプロジェクトに関わる人たちが、やはり「若い」のではないかと思います。

若いというのは、年齢的にも経験的にも、という意味です。

世間が狭いから、自分らが企画している映像が、インターネットという媒体を通じて、自分とは異なる世代や社会の人に与える印象を、自分の尺度でしか想像できないのだろうと思います。広告プロジェクトにはたいがい年長者もいるのですが、そう人はよく「私はよくわからないから、若い人に任せて・・・」と、下駄を預けてしまいます。自分の感覚をもっと信じていいと思うのですが。

 

「もともと炎上を狙った」

広告主や広告会社がよく言い訳をしますが、どうにも「後付け」にしか思えません。炎上というのは、火消しができない、どこへ延焼するかわからない、制御不能のこと。広告主、広告会社、制作会社がタッグを組んで炎上を狙う、ってそんな合意ができるものでしょうか。

 

知名度さえあがればいい=イメージなんてどうでもいい、という場合もあるでしょうが、イメージが悪くなって構わないなんてビジネスに、僕は酌みできません。

 

WEB動画(CM)の品位を上げよう

インターネット広告のいちジャンルであるWEB動画ですが、「目立ったてなんぼ」「クリックされてなんぼ」なんて基準はもうやめて、テレビ広告と同様に、訴求対象は明確にしつつ、お茶の間の誰が見ても不快感や嫌悪感を感じることが少ないよう、企画の品位を向上、洗練させていく必要があると思います。

その上で、狙ったターゲット・視聴者に狙い通りの印象、情報がどれだけ届いたかを尺度にすべきです。これらすべてを両立してこそ広告屋の仕事です。

そのためには技術やアイデアだけでなく、経験や勉強が必要です。もちろん持って生まれたセンスも必要でしょう。そう簡単な仕事ではありません。まずは、ひとりひとりの映像クリエーターの意識の変革、向上がWEB動画制作業界全体のレベルの向上と活性化には、欠かせないと思うのですが。
 

 

 

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