映像プロデューサーと会社組織の三大力学

October 1, 2015

いきなり肩書きよこせと言われても

近頃、採用面接をしていると、中途採用者であればそこそこの待遇や肩書きを用意しなくては見向きもしてもらえない。制作部長とか営業部長とか。

求職者の方も、やはり肩書き(責任)をもらえないと給料はもらえないことはわかっているので、部門の長のような立場を要求する人も多い。

経営者としては、部門の長を任せた人間がその役割をしっかり果たしてもらえればありがたいものなのだが、人事権があるからといって、ぽっと入ってきた人間をいきなり部下のいるポストに就けるのは、どうしても躊躇する。

 

「社長がそう決めればいいだけじゃないですか?」

と畳み掛ける求職者が最近少なくないのである。

そう簡単な話じゃないと思うのが僕。映像演出家として役立つ仕事をして欲しい、というだけならば僕の審美眼と鑑識眼で「即採用」を決めても構わないけれど、部門の長として既存の社員たちを率いる立場の社員を中途で採用するには、やはりその求職者の総合的な人間資質を見ざるを得ないのだ。

 

会社組織の3大力学

話は代わりますが、僕には、いくつかの会社の栄枯盛衰を身近で見、その後自身でも何社かの会社の立ち上げを経験して確信している「会社組織の3大力学」というものがあります。

 

1.法的な権限と責任を持っている人のチカラ。

 株式会社で言えば株を過半数以上持っている支配的代表者。人事権を持つ人。

 

2.販売ないしは生産の核心を握っている人のチカラ。

 その人がいないと販売先が細る。ないしは商品の生産ができなくなるキーマン。

 

3.大半の社員が、その役を相応しいと認めている人のチカラ。

 人望を集めている、ないしは付き従う部下がいること。

 

会社の組織を組み立てる時、これらのチカラが組織を支配する力学として働きます。このうち誰が欠けても、利益を生む会社を継続することは難しいので、会社の利害関係者は、これらのチカラを持つ人を柱にしながら人事を調整するのです。

 

カリスマ経営者は後継者問題が

現実的には、この3大パワーをすべて備えた経営者は少ないと思います。圧倒的な営業力と人望を集めて社長になった人であっても、代表者としては株主の信任を受けているだけであって、株主の力によって解任されてしまうこともあります。

 あるいは株式の大半を持って代表者としての人望を集めていても、現場の仕事は番頭さん任せ、という経営者も多いでしょう。

 また、オーナー社長としてガンガン営業して売り上げを伸ばしても、社員がすぐに辞めてしまう会社、というのもよく聞く話です。社員には自分と同じように「売りまくれ」と言い、組織を力技で組み立ているので、社員のモチベーションが継続できないのです。

 

どうやら「会社組織の3大力学」は、ふたつまでは持てても、三つ全部を持っている経営者は希のようです。でも、むしろ三拍子揃った経営者はカリスマ化してしまい、後継が難しいとも言え、ふたつくらいを持った経営者を、あとひとつの要素に秀でた番頭さんが支える、というようなスタイルが良いのかも知れません。


中途採用者には1年我慢をして欲しい

話を元に戻すと、僕は中途採用の人間を管理職にしたいと思っても「1年間は我慢して欲しい」と求職者に言うことにしています。その間に既存社員たちが彼(彼女)を認めるかどうか見極めたいからです。もしかしたら、数ヶ月のうちに手懐けるかも知れないし、既存社員に嫌気が差すような仕事の仕方をするかも知れません。

チカラで組織を組み立てても、結局は人が動くかどうかです。

こんな考え方は古いでしょうか。

 

水は高いところから低いところに流れる

という理があるように、人が自然に働く仕組みで組織を組み立てないと、水は流れずに溢れるばかり・・・、あるいは水が枯れてしまうか・・・。
 映像制作のチームも会社組織と同様に、力技で役割を割り当てたところで「いい仕事をしよう!」という意気込みは生まれません。「責任」「能力」「コミュニケーション」を担うスタッフが、それぞれの職能を生かしたいと身を乗り出し、助け合って作り込んでいきたくなるような仕事と環境をつくること。それが、プロデューサーとしての僕の役割であり、映像制作会社の代表としての責任だと思っています。

 

 

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