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  • Writer's pictureTomizo Jinno

映像技術デジタル化の功罪

記録媒体が磁気テープだった時代

映像編集はワンカットワンカットつないで行き、後になって前の方の映像を差し替えたい場合は、尺が同一で、つなぎが「カット」であればインサートで差し替えることができましたが、つなぎ部分にオーバーラップやワイプが使ってあった場合、そののりしろを埋めてカットつなぎでインサートすることしかできませんでしたし、尺が違う素材に替えたい場合や、削除したいとなれば、編集点から後ろは全部もう一度編集し直し、という憂鬱な作業が待ち受けていたのです。


ダビング劣化が少なくなったデジタル化

それも(テープ)デジタルの時代になると、ダビングによる画質劣化をあまり気にせずに編集できるようになり、随分編集時間が短縮されたものです。すでに編集してある部分を他のテープにごっそりダビングして、直したい部分を直したら、その後ろにドカンともういちどダビングすればいいからです。わからない?そうですよね、なに言っているかわかりませんよね、テープ時代の映像編集の煩雑さは。

 映像作品の完成度(作り込み)の追求を容易にしたノンリニア

それがデジタルの時代が到来し、ノンリニア編集が登場して、飛躍的に自由度が高まると同時に、それまで何千万、◯億円もするような高価な機材を使わなければできなかった効果がパソコンレベルの機材とソフトでいとも簡単にできるようになりました。

やはり何よりも、編集の「直し」が自在にできるようになったことは、演出的な面での作り込みをとことんまで追求できるようになり、それまで時間的、経済的な問題で諦めていた高度な完成度を目指せるようになりました。

編集機器を自社でもつことも当たり前に

当初はプロ用のカメラを買い、ノンリニア編集環境を整えるには、かなりの設備投資が必要でした。それも今では入門仕立ての個人でも難なく購入できる機材で、プロに匹敵する撮影や編集ができるようになったことで、我々BtoBの映像制作会社は作業環境が激変、編集機器を自社でもつことも当たり前になりました。

また、予算の低価格化、映像制作体制のコンパクト化の波によって、演出家やカメラマンが自分で編集しなくては、利益が留保できない状況にもなっています。

「ノンリニア」がもたらしたというより、インターネットの高速化や映像そのものの価値観の変化による業界再編の波は、今後の5Gの本格化によって、いったいどんな職まで飲み込む勢いなのか、まだまだ予断を許さない状況なのであります。


ノンリニア編集だからこそ起こるミステイク・映像制作会社の苦労

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