Tomizo Jinno
「動画クリエーター」という職業
Updated: Jun 28
ユーチューバーと類義語?
今は「動画クリエーター」という職業があるらしい
Youtubeに「自分が撮った(つくった)映像をアップすることを生業としている人」のことのようだ。彼らがアップした映像を見てみると、たしかにドーガである。
「動いているモノを撮っている」から動画なのだ。
ほぼ1カット
大概が、たまたまそこに居合わせたか、カメラの前にその「動いているモノ」を置いて撮った映像だ。
ハウツーを教えている人を撮っているだけ、とか
普通ではやらない奇行を撮っているだけ、とか
というドーガもよく目にする。
なかには動いていないものをカメラを動かして撮ったドーガもある。
話題の内容が面白かったり、出演者に人気があれば再生回数は伸びるだろう。
つくるのは簡単
こうしたドーガは、そこにある様子をムービーカメラでフレームに切り取って、NG部分を削って、タイトルつけて、テロップ入れて、音楽を入れればできあがりである。
被写体がもともと面白いのであって、映像制作の技能はさほど要らない。
彼らは動画クリエーターではなく、言うなれば「コミュニケーションクリエーター」だろう。
「映像制作って、そもそもそういう仕事じゃないの?」
否。
職業映像制作者が行っている仕事は、そういうものではない。
対象は、そこにあるものでもいい、創意発意したものでもいい。
僕らBtoB映像制作業の場合は、クライアントが希望する「コト」がそれにあたる。
その「コト」を視聴者に対してテーマとメッセージを設定し、それらにどうアプローチすることで、より明確に伝えるか・・・そうしたことを予め計画して、提案し、承認をいただいて、その計画どおり創作してみせることである。
なにもないところから始まる
職業映像クリエーターは、何も無いところから始めて、素材を準備し、加工して、カット割りを工夫しながらアレコレ撮影して、アニメとかつくって、多くの撮影素材を切り落とし、あーでもないこーでもないと編集してみながら創っていく作業をしている。
もちろんこれらの作業は分業しても、それぞれの職能は映像クリエーターと呼んでも構わないと思うけれど、カメラを回してネットにアップする人をなんでもかんでも「クリエイター」と言うのはヤメテ欲しい、と心から思う。
僕ら職業クリエーターの仕事もそういう仕事なんだ、と勘違されてきているキライがあるから。
「映像クリエーター」の価格
今日は大晦日だが、家人に不義理をしながら昨日まで三日間、(最後に大掃除する)寝室にパソコンを持ち込んでシナリオ+絵コンテを作っていた。実写ではなく2Dアニメによる商品(技術的)PRなので、考える時間、作画する時間、とても時間がかかる。今回は3分の作品だから3日でなんとか終えられたが、それはこの商品PRの実写版シナリオを以前書いたことがある、という商品理解があったから。
ふつうにやればたぶん1週間くらい必要だろう。
今回のこの絵コンテ。
見積書上の明細では30万円。
僕らの仕事はそういう仕事です。