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  • 株式会社映像設計 代表取締役プロデューサー 神野富三

BtoB映像のナレーションの役割(その1)

Updated: Jun 26


BtoB映像(VP)もナレーションなしの時代

今どきはナレーションを入れない動画が多くなり、ナレーター職のみなさんのボヤキが聞こえてきそうです。BtoB映像制作にとっては、ナレーションの有無、原稿の良否、ナレーターの選択は非常に大きな要素です。

今回はそういう話題「その1・ナレーションの有無」

ナレーションはシナリオの大きな軸のひとつ

昔から産業映画、企業映像はナレーションがあることが大前提でした。

大枠の構成(これはほとんど定番の使い回し)さえ決めれば、あとはナレーション原稿を書いていけばストーリーは出来上がり、そこに映像のシーンとカットを充てはめればシナリオは完成でした。

あるいは構成に対してシーンを書き込み、シーンの流れでストーリーを構築した上で、その枠の中にナレーションを書き込んでいくというシナリオ作りもありました。

いずれも映像作品の大きな軸はナレーションのテキストが担っていますので、この文章の完成度が映像全体に大きな影響を与えました。

ただし、ナレーション用の文章というのは映像とリンクしていますので、必ずしも言葉がすべてを語らなくてはならないわけではなく、むしろ映像を見れば「言わずもがな」な言葉を省いていくことが、メリハリの効いた、味わいのある映像づくりに欠かせませんでした。

VPからナレーションがなくなると

では現代のようにナレーションがなくなると、この構成・シナリオづくりはどうしているのか?

昔のように10分以上の尺があるのがアタリマエではなく、クライアントには大方が「5分以下でお願いします」と言われますので、シナリオからナレーション文書がなくなると、書面はもう簡潔そのものです。

表紙の次に制作内容の仕様書のような書式があり、構成兼シナリオは3ページ目1枚で終わってしまいます。

クライアントは、まずナレーション原稿を目で追う

ナレーション原稿が書いてあると、クライアント担当者はその文章を読みながら、それらの言葉に対応するシーンの映像ト書きを見て、映像の流れを想像したものです。

文字で書かれただけの映像の「シーン」や「カット」の箇条書きを、順番に読んでいくだけで映像の流れ、構成の仕組みが理解できる人は、そう多くありません。

ですから、ナレーションの無いシナリオは、クライアントに「これではわかりません」と言われるか、「よくわからないけれど、お任せします」と言われるか、どちらかです。「お任せ」なら楽勝じゃん、なんてことはありません。むしろ危ない道です。この話は長くなるので別稿に譲るとして。

絵コンテを求められる

多くのプロダクションは、こういう場合「絵コンテ」を提出するのですが、実は絵コンテを描くには、企業映像であれば、その企業の様々な現場を見て回る(シナハン、ロケハン)作業が必要になります。

しかし納期や費用の問題で、この工程を踏む機会をいただけない場合も多く、むりやり想像で描いた絵コンテは、まさに絵に描いた餅のようなものになります。

クライアント内でのコンセンサスづくりには「よくわからない」書類ではまずいので、こうした絵に描いた餅絵コンテが上層部に上がっていくことになり、それで承認を得た映像づくりは、実際には絵コンテとは似て非なるものとなり、最終的には「このプロダクション使えない」と言われておしまい。という顛末を辿ります。

話が脱線してきました。

上申書類として不十分なシナリオ

つまり、ナレーションがあるシナリオの場合は、その書類だけでも上申書として機能するけれど、ナレーション文章がない場合は、追加のエビデンス(多くの場合、絵コンテ)が必要になります。

エビデンスとは何か?

それは制作実施前段階で見せるための、完成品の品質を証明(約束)する、目に見えるもの(書類や絵、動画、形あるもの等)の事。

予算と納期が適切で、スタッフキャスティングや機材調達が存分にでき、十分な打ち合わせ期間があることで、完成後の映像と齟齬が少ないエビデンスが作成できる場合は問題ありません。

現実的には、現在のナレーションが無い動画づくりの大半は、予算も納期も節約したいという面を併せ持つため、エビデンスを示すことは無理がありすぎます。

強気に書きますが

予算がない場合は超短尺な映像(テレビCMなど)でない限り、絵コンテは出さない方が安全です。

できもしないイメージを提案して、似ても似つかない映像を作り上げるリスクが無いからです。

エビデンスなしで受注するのが極意!?

結局のところ、こうしたナレーションなし短尺動画(予算節約型)は、制作会社の信用力だけでエビデンス無しで発注を貰うか、失敗しても痛くない程度の損失だからと発注をもらうか、どちらかということになります。

僕はこのジャンルの仕事については、「僕、絶対に失敗しないので」と期待してもらって、実際に裏切らない、ということ継続するしかないと思っています。

BtoB映像のナレーターの重要性(その1)


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