Tomizo Jinno
3密と映像シナリオと正常性バイアス
「3密回避」にみる正常性バイアス
いま緊急事態宣言に至っている新型コロナウィルス感染症対策で、しきりと叫ばれている「3密回避」について、人々の行動や意見に、様々な角度からバイアスが掛かっていることが窺えます。
避けるべき密閉、密接、密集について、みんなわかってはいるものの、いざ自分がその状況に遭遇しても、それに気づかない人というのは問題外ですが、気づいていても「自分に限って大丈夫」「(相手が)友達だから大丈夫」という根拠のない理由をつけて、その場を過ごしてしまうのは、人間の「正常性バイアス」の典型と言えるでしょう。
確率的に低い=絶対にない、ではない
新型コロナウィルスについて、メディアから伝えられる感染者数や死亡者数は、かなりの数字になっているとは言え、人工対比の単純な確率で言えば数%にも満たない中に、こういう場合に限って「自分がその中に入るわけがない」と、自分に都合のよい解釈をするわけです。正常性バイアスとは「社会心理学、災害心理学などで使用されている心理学用語で、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のこと。」(出典:Wikipedia )という、まさにこれに当てはまります。
バイアスは誰にでも掛かっている
例えば、人は宝くじを買うと最初「自分に限って当たるかも知れない」という、とてつもない妄想を抱き、抽選結果が発表されると「宝くじは絶対に当たらない」というを確信を持ちます。たぶん誰もが経験する認識や感情の流れです。
しかし、現実には宝くじはほとんどの人はハズレますし、当たる人には当たります。ですから、「自分に限って」も「絶対に」も、いずれも間違いです。
都合が良いのが人間?
人はなぜこうした認識に「間違い」を冒す(犯す?)のでしょう。やはり簡単な話し「目の前の事実から目を逸らし安心したい」のでしょう。
事実を事実として真正面から捉えることは、時に精神を不安定にしますから、人としての精神衛生を保つための心の作用なのでしょうけれど、こと他人様が関わっている事実の認識については、正しく受け止め行動に移さないと迷惑を掛けます。
PR映像のシナリオはバイアスを利用する
映像シナリオを書く者として、人が持つ感情や認識についてのバイアスのことは、いつも脳裏に置いています。人間の心のバイアスは、例えば「先入観」を逆手にとった効果的な映像シナリオづくりには役立つものです。
でも、現実の社会ではあまり快いものではありませんので、自分の心が持っているバイアス傾向については、いつも注意を払って、修正しながら状況把握をしたいものです。
