- 株式会社映像設計 プロデューサー 神野富三
5G時代の到来と共に映像制作界に何が訪れるのか
映像制作業というと・・・
多くの人はテレビ放送や映画のためのコンテンツをつくる仕事を想像すると思うけれど、僕らの業界、BtoB映像制作業界は「クライアントのオーダーで映像コンテンツをつくる」とう仕事だから、創作したものの価値は原則としてクライアントが決めるものです。
(もちろん、提示された価値が不服であればあらかじめ請け負わない。)
誰がお金を出しているか
テレビ番組や劇場映画は、制作のためのお金を出す人も放送局や映画会社だから、映像制作のことはそこそこ知っています。だから、映像コンテンツというものが概ね予算に応じたものができあがる、ということも知っています。
「積算見積書」が通らない!?
しかし、一般の企業がクライアントである我々の業界は、「これだけのコストが掛かっていますから、これだけ払ってください」という「積算見積書」が、通用しなくなってきています。
そして「その映像によって生まれる価値の何分の1」というような予算観が、最近拡がってきているように感じます。
BtoB映像制作費の変遷
僕はアナログテープ録画の時代からこの映像制作業界にいます。
かれこれ34年です。
1980年代に、ある映像の制作費が300万円だったとしましょう。
1990年代前半(バブル時代)に、500万円くらいに跳ね上がりました。
2000年代に入ると、デジタル技術の普及により映像機器が安価になり、
150万円くらいで制作する会社が現れました(弊社がこれに相当するかんじ)。
2010年代に入り、インターネットの速度が格段に速くなった頃から、100万円を切るようになり、
2019年のいま、その予算(価値観)は50万円くらいに目減りした・・・、そんな印象です。
もちろん、掛ける労力、コストは300万円時代、500万円時代から格段に省かれていますが、コンテンツ自体に対する価値観で言うとこんな感じです。
安価化の最大の理由は3つ
(1)デジタル技術の普及により映像機器が格段に安価、ハイスペックになった
(2)高速通信による動画視聴の日常化
(3)誰でも映像を撮れる、編集できるようになった
重さも形もなくなって
かつてはビデオテープ、レーザーディスク、DVD盤という物理的な重さや形を持っていた映像コンテンツが、形も重さも無くなってしまったことで、価値を感じにくくなったことも間違い無いでしょう。
そして、いよいよ5Gの時代
今の10倍とか100倍とか言われるスピードで、高画質な映像をストレスフリーで視聴できる環境が、いったいこの業界にどのような変革をもたらすのか・・・。
大激震になることは間違いがありません。
この業界に生きる者としては、この大事件を味方につけるか、敵に回すのか。
これまでの常識を一旦捨てて、映像新時代に対応するプロダクションにならなくては、と思っています。
