- 株式会社映像設計 代表 神野富三
BtoB映像制作の見積り依頼は、軸を決めると話が早い
実はよくあるのですが 「3分くらいの商品PR動画をつくりたいので、見積りをください」と言われることがあります。
こうした問い合わせを受けると、僕ら映像制作会社の人間は途方に暮れます。
何を作ればいいのか、まったくわからないからです。
「3分」って言っているじゃないか?
「商品PR」って言っているじゃないか?
恐縮ですが、この2つの情報は制作費を算出する目安にはなりません。
オフィスの会議室で照明も使わずにカメラを置きっぱなしにして、誰かがその商品について3分喋るだけ、でしたら10万円でもできなくはありませんが、上場企業がテレビでオンエアする、ブランディング目的の商品CMレベルだとしたら、数百万円以上ということになります。
「発注する企業の規模によって予算が違うのか?」
と思うかも知れませんが、一般的、平均的に大企業の発注する映像が求める(期待する)品位を実現するには大金が必要です。個人商店を経営されている方でも、動画を作りたいと夢を膨らませると、脳裏にはそうした大企業が制作するような映像をイメージする方も、実はとても多くいらっしゃいます。
見積り算出の条件になり得る情報
映像制作会社は、こういう場合以下のような質問をすると思います。
ぜひ、以下のような情報をご用意いただけると助かります。
(1)商品はなんですか?
(2)どこで、誰に見せる動画ですか?
(3)構成・シナリオのイメージはありますか?
(4)いつまでに必要ですか?
(5)ご予算はどのくらいですか?
(1)を伺うのは、
その商品が大きいものなのか、形があるのか無いのか、どういう性質のものなのかによって、撮影ができるものなのか、イラストやCGにしないと描けないものなのか、撮影に高度な技術や機材が必要なのかとか、撮影のチャンスが1度しか無いとか。これらの条件でコストが大きく違ってくるからです。
(2)を伺うのは、
WEBにアップするのか、テレビでCMとして放送するのか、イベントで上映するのかによって、映像に求められる品位や規格が異なり、当然コストも違ってくるからです。また、視聴媒体によって視聴者のプロフィールも違ってくるため、企画や構成に掛かるコストも違ってきます。
(3)を伺うのは、
類似の映像がわかれば、問い合わせされた方の脳裏にある動画のイメージ、品位、個性が推測できるので、どの程度の作り込みが必要か、どういうタイプのクリエイティブを求めているかがわかり、実現可能かどうかも判断できるからです。
(4)を伺うのは、
制作期間の長短によってキャスティングできる人材が違ってきますし、短期決戦であれば、例えば編集の修正機会が限られるため、そう長く拘束されることがなく、予算を抑えられるかも知れないからです。もちろん不眠不休になる場合「特急料金」が必要になることもあります。
(5)を伺うのは、
問い合わせされた方がその動画に掛けても良いと考えている金額によって、その動画への期待度がわかり、イメージの擦り合わせが早くできるからです。また、ご予算と期待度に大きな乖離がある場合、できるだけ早くそうした齟齬を回避しないと、双方とも大きなロスになるからです。
「軸」を起点に脳裏にあるイメージを掴む質問をします 最低でもこれらのうち、ひとつでも具体的にお話しいただくと、私たちはお客様のイメージを具体的に掴むためのお話がし易くなります。「腹の探り合い」で時間をロスすることが少なくなるばかりでなく、最終的にできあがる動画も思いどおりに近いものになるからです。 「3分くらいの商品PR動画をつくりたいので、見積りをください」 もし、この質問だけで見積書が出てくるプロダクションがあったら、その会社に発注するのはやめたほうがいいです。
