- 株式会社映像設計_神野富三
BtoB映像の納品形態と通信スピード5G
FILM時代 20世紀の話になりますが、かつての企業映画や行政映画の納品(16mmフィルムや36mmフィルム)は、原盤(ネガ)から反転してプリント(焼き付け)した光学(ポジ)フィルムでした。映写機にかければそのまま上映会ができました。
フィルムのプリントは短くても1本数万円、数十万円という高額になるため、プリント業務だけをとってもビジネスとして旨味がありました。
原盤から起こしただけのプリント(コピー)ではあっても、どこかコンテンツの利用料とか権利料を含む・・・みたいな感覚が制作会社側にあったように思います。
テレビ時代「送稿プリント」
そうした利権意識は、その後テレビ全盛時代がやってきても「送稿プリント」という呼ばれる、CM素材を入れた磁気テープに引き継がれました。
僕がこの業界に入った頃で、45,000円とか60,000円だったように記憶しています。
放送システムがアナログだったことも理由ですが、大義名分は素材の取り違いを防ぐため、テープ1本には原則的に1本の素材しか入れてはならないというルールがあって、放送する地域や時期によってバージョンが変わる場合は、その数だけプリントする必要がありました。
東京キー局から全国放送になるネット番組(枠)ならば素材1本でいいのだけれど、全国バラバラの放送枠で放送する場合は、ちょっとバリエーションがある内容だと、数十本、百何十本なんていうプリントが発生し、ポストプロダクションにはその作業だけで、テープ代を除いても数百万円の粗利が稼げちゃう時代があったのです。
時は流れて・・・。
実はデジタルの時代に入っても、放送業界ーCM制作業界では強硬にこの習慣(?)を守ろうとしていたキライがあり、今年ようやくオンラインで送稿できる体制が整うようです。
送稿プリント利権ビジネスがここに終焉を迎えることになる(のか?)。
BtoB映像業界ではとっくにオンライン
さて、我々BtoB映像制作業界の「納品」はどうなっているか?
というと、現場ではとっくにオンラインでのデータのやりとりで仕事しています。
とっくにメディア(テープやCD/DVD盤)での納品は影を潜めてしまいました。
納品だけではなく
撮影した素材の受け渡しから、編集途上での試写はもちろん、納品データでさえWEBを使って送信することが大半になっています。
この状況には、たぶん5Gの通信環境が普及すると、もっと劇的な変化が訪れるに違いありません。
素材はクラウド上に置いておいたまま、ローカルの編集ソフトで素材に紐付けながら編集する・・・なんていうのはお茶の子さいさいでしょうし、撮影現場と編集スタジオが地球の裏側同士・・・ということだって普通になるかも知れません。
通信スピードは映像制作業の既成概念を破壊する
かつて、ネットの通信スピードが光回線の登場で向上した時、我々の映像制作業界は劇的変化の時代を迎えました。
では5Gの時代に何が起こるのか?
それはまだ誰も想像しないような変化かも知れません。
願わくは、弊社にとってチャンスとなるような変化でありますように。
