- 株式会社映像設計 代表取締役プロデューサー 神野富三
取引ハラスメントと誠実な映像づくり
ビジネスモデル転換の陰で インターネット隆盛の時代となり、あらゆるビジネスモデルで大どんでん返しが起こっています。
新しいビジネスモデルが優位になるのは、多くの場合そのポイントは(1)安い(2)早い(3)手軽、です。
例えば家電や服飾関係の商材は、かつての価格が信じられないような低価格と、画面を「ポチ」っとするだけの手軽さで翌日には届きます。
切り捨てられている付加価値
ただし、こうした低価格で手軽に手に入れる商品やサービスは、目的外機能の削除、販売する側の商品知識の無さ・双方向コミュニケーションの抑制といった、かつての商取引では当たり前のように提供されていた「付加価値」の排除によって実現しています。
双方の利害が一致!?
購入する側にもコミュニケーションを忌避する人が増えたことは事実ですが、提供側企業にとっても低価格・即時性実現のために「コミュニケーション」にかける人的、システム的コストを抑えるのが常識という時代です。
商取引が遅滞なく行われ、満足のいく商品・サービスが提供されているうちは問題は起こりませんが、ひとたび齟齬が発生すると、とたんに取引自体が機能停止に陥ります。
齟齬が起こると、とたんに消費者不利に
齟齬に対しての解決方法が未整備だだったり、商いの大きさからみて明らかに過少な体制しか用意していないからです。さらに言えば、そうした齟齬が発生した場合には、返品しておしまい。あるいは返金しない、諦めろ、というビジネスさえあります。どれも共通しているのは、その商品やサービスが非常に安価なので、消費者側に無駄なストレスと時間を掛ける意欲がわかないということです。
あらかじめお客さんとの齟齬の発生を見込んであり、そこでのイメージダウンは切り捨てても、それに比べ計り知れない利益をもたらすビジネスモデルの方が大切だ。ということでしょう。
「消費者もそれを承知で購入している」という言い訳によって、消費者は返す言葉がなくなります。
不誠実なビジネスモデル
こうした「不誠実なビジネスモデル」による(小さな)被害は、誰にでも経験がありながらなお、やはり低価格と即時性には替えられないとばかりに、多くの人がそうした不快な経験を封印してしまっています。提供企業側は「要らないならいいですよ」という、ある意味で強い立場による不利益の強制、つまり消費者に対するハラスメントを行なっているわけです。
取引ハラスメントと中小企業のブラック労働
デフレ社会の裏側では、様々な業界で、こうした「取引ハラスメント」の構図によって「安価」が維持されています。同時に安さ、手軽さと引き換えに、あらゆるビジネスが巨大資本の元に集約され、コストダウンにより巨額の利益を生み、きめ細かな消費者ケアを行う中小企業は、そのコストをブラックまがいの労働力で維持するしかない、今はそういう資本主義社会です。
BtoB映像制作会社はどうなのか
さて、BtoB映像制作ビジネスの業界も、むやみに安価な料金を謳っている会社がありますが、そういう制作会社はいったい何を省いて、そうした料金を実現しているのでしょう。そのコストダウンと引き換えに、お客さんにどんな言い訳をするつもりなのかな!?
