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  • 株式会社映像設計 代表取締役プロデューサー 神野富三

品質管理の「暗黙の了解」と映像制作ビジネス


「日本の製造業は地に堕ちた」のか?

ニュース番組を賑わせる、一流メーカーの品質・検査偽装問題。

検査数値を改ざんしたり、無資格者が検査をしたり・・・。

経営者層はそのことを把握していないと言ったり、問題とは考えていないと言ったり・・・。

誰のための品質基準・検査基準?

品質基準(数値)も検査も検査員も、その目的は製品や部品の品質や安全性を担保するためのもの。改ざんや検査不足が、それが長年現実に製品の安全性や機能として問題にならなかった(故障や事故として表面化しなかった)ということは、「現場」での判断は実質的には間違っていなかったということになります。

間違っていたのは、「自分らが関わっている改ざんや手抜き検査の程度は、現実的には許容範囲である」という業界内、現場内の共通認識が世間にも通用する、なんとなく「この程度は『暗黙の了解』として許されるよね」と思っていたことだと思います。

「暗黙の了解」の罠

今の時代、いちばん危ないのは「暗黙の了解」が白日に晒されると、その瞬間から「了解」は「ルール違反」になることです。インターネット社会になって、誰でも意見を発することができる時代は、「業界に遠い人」にも発言権を与える時代です。「業界事情」を知らない人が世間の大半ですから、誰も事情を酌量してくれたりしません。理解をしてくれる人の声はかき消され、時には世論からかけ離れて、批判の声だけが増幅される世の中なのです。業界外の人たちからすれば「ルール違反=脱法行為、裏切り行為」。そうした一面的な意見が集約される時代なのです。

「暗黙の了解」の罠、その恐ろしいところは、それが明文化されていない、あいまいな共通認識という面。だから、いざとなれば「そんなこと俺は知らない」「そんなルールはなかった」と言えば、槍玉に挙げられた人間以外は、ほんとうは暗黙の了解を共有していた当事者なのに蜘蛛の子を散らすように逃げ出せること。その様子を目の当たりにする「挙げられた人間」に僕は同情します。

「これくらい大丈夫なんだけどね」

どんな業界でも、その道のプロに言わせれば「これくらい大丈夫」ということは沢山あります。ただ自分らが産み出す製品やサービスに、客観的な数値基準や制度基準を与えた方が、何事につけ商売し易い。取引先選定の基準になる。世間を納得させ易い。

「当社の製品は、○○が△△以下です!」とか。

「××ppmは環境基準の1/100です!」とか。

数値基準や制度というものを、企業内部や業界団体、時にはお役所も一緒になってつくって、自分らの業界の製品の品質向上、業界の成長のために働いてきたのに、いつの間にか数値や制度が一般に広まり、ひとり歩きを始め、社会で絶対値になり、実際の数値が少しでも違うとわかると世間様から「嘘つき」「裏切り」「詐欺」と罵られるという顛末。

業界内の現場では「そんなことは暗黙の了解なのに」、と嘆いても仕方がありません。過度な数値目標や現実的でない制度をつくったり、変えたりできないのは自分らなのですから。

映像制作業界にある「暗黙の了解」

さて翻って映像制作業界にある「暗黙の了解」というものを考えてみました。

対外的なアピールと、実際の現場で共有されている認識にギャップがあるけれど、そのことを誰も口にしない・・・それが暗黙の了解になっていること・・・。

さすがにB2Bの映像制作業界に、数値的な品質基準というのは存在しないと思います。 僕が知らないだけですかね?どなたかご存知でしたら教えてください。 WEB動画ではコンバージョンという数値(目的成果につながった数)がありますが、これは映像が公開された結果がもたらす成果であって、映像コンテンツ自体の品質を表す客観数値ではありません。

いやあ当社(というか僕)に関して考えると、業界外に対し口にすることがない「暗黙の了解」というのはないですね。ほとんど本当のことを言っちゃっています。

「映像なんて誰でも創れますよ」

というのが最たるものでしょうか。

あなたの知っているプロダクションは「映像はプロフェショナルにしか作れない」と言っていませんか?

それ嘘です。実はみんな、レベルの差こそあれ作ろうと思えば、少々面倒くさいことを我慢すれば映像作品は出来上がることを知っています。

実際、誰だって撮影できるし、編集できるし、ネットで公開したりできるのですから。編集のルールだってべつに知らなくたって映像作品は出来上がります。

ただ、企画・シナリオと制作マネージメント(プロデュース)に関しては誰にでもできることではないし、それが当社の強みだと思っています。また、技量やセンスに秀でた演出家やカメラマン、エディターを見抜くチカラもそうでしょうか。

暗黙の了解を裏切らない

映像コンテンツそのものの品質の評価基準というのは、この世の中にありません。

WEB動画では再生回数やコンバージョンはひとつの評価数値なのですが、いかんせんコンテンツの良し悪しとは別な次元での影響が大きい。映画だってテレビドラマだって、結局は「人気投票」や誰かの「批評」という主観評価しか方法がありません。

B2B映像がとにかく世にでるためには、クライアントの承認が必要です。その評価はあくまで個々のご担当者やプロジェクトリーダーたちの、これもやはり「主観」です。

恐れ入りますが、ご面倒ですが弊社の過去に制作した映像を見ていただいて、あなた自身で弊社の映像制作を評価していただくしかありません。

もし選んでいただいたなら、「あなたなら良い映像を作ってくれそうだから」という暗黙の了解をぜったいに裏切らないこと、それが僕の信条です。

品質管理の「暗黙の了解」と映像制作ビジネス


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