- 株式会社映像設計 代表取締役プロデューサー 神野富三
制作費を極限まで抑える映像制作方法
Updated: Jan 5, 2021
日本在住外国人クリエーター&ナレーターのアイデア
この業界での僕の古い友人に、ダンカン・マッキンタイヤという日本在住のカナダ人がいる。2mちかい長身の大男だが、気が優しくてハンサムな男だ。
彼は東京の白金台にオフィスを構えて、映像、WEBコンテンツ、パンフレットなどを企画・制作する会社を経営している。
いちぶ弊社と競合する商売を展開しているわけだが、ダンカンはとても太くて良い声をしているので、英語のナレーターもこなす。四半世紀くらい前、ある人の紹介で彼にナレーションを読んでもらったことから関係が始まり、以前よく一緒に仕事をした。
最近でこその疎遠になってしまったが、そのダンカンからメールで、WEBサイトを刷新したのでよろしくと知らせが来た。
さっそく訪問すると、やはり彼らしいシンプルでわかりやすいサイト作りがしてある。そして目に入ったのが、そこに埋め込んであった動画の、このタイトル。
「ビデオ制作の新しい形」
ダンカンの事業をPRするためのPRビデオである。
内容を要約すれば・・
「これまでの映像制作は事前の打ち合わせや提案に時間とコストを掛けて、高い予算で遅い納期だった。これからはゴール(目的)を明確にしたら、すぐに(動画の核となる映像としての)インタビューを撮り、編集しながら台本(構成、ナレーション原稿)をつくり、必要な追加映像(グラフィックや文字等)を挿入。音楽とナレーションを入れたらWEBにアップして確認。柔軟に修正対応して、最終納品。ここまでで2週間」
という内容。
ほんとうのことを言っちゃった
というのが僕の感想。
いやはや、ほんとこれまったく正論だと僕も思うでです。
正論だけど、この日本の企業社会ではなかなか理解されないプロセスなので、よほどの条件が整わない限り、こうした提案はできません。
その条件とは・・・
クライアント発注担当者がその会社や組織の最終決裁権者に限りなく近いか、同一。
クライアントがその企画の達成目標に対して投資する予算が、一般的な基準でみて足りていないことを認識している。
クライアントが制作会社に全幅の信頼を置いている。
なぜダンカンは、これがビジネスになると考えたのか
想像するに、ダンカンはとっても日本人マインドを理解していて、日本の組織は意思決定が遅いということにも、柔軟に対応してする男なのですが、むしろだからこそ、その時間と労力、コストがもったいないことを認識しているのだと思います。
そして、今の時代、映像(動画)を企業や商品のプロモーションに利用しようという企業の裾野が広がってきて、日本の企業ではあっても、組織の原理が旧来とは違っていたり、トップ自ら制作の指揮をとったりすることが増えてきたことが、ダンカンに、こうした方法に「ビジネスチャンスあり」と思わせたに違いありません。
僕も同感
このことは、実は僕も実感していて、弊社のホームページを見て、トップ自ら弊社を指定して制作を依頼してくれる会社が増えてきました。
これらの企業に共通するのは、「ブランディング」を重視していて、経営者がもっている「イメージ」をカタチ(映像)にしたいということ。
そして、予算はけっして潤沢でないことはわかっているけれど、本当に理解してくれるクリエイティブパートナーを探していることです。
インタビュー軸の映像制作は難しいことなのか?
技術面で考えると、インタビュー映像を軸に映像を構成すると、「当事者」自身の言葉と顔にはやはりリアリティ、説得力があり、台本に沿って作り込む映像とはまったく別な次元のPR効果があります。
しかも、撮影自体は技術的にもコスト、時間的にもかなり楽です。重要なことは、被写体となる人(インタビュー対象)の中身の充実度と、インタビュアーの理解力、想像力です。
ダンカンは、カナダ人でありながら、日本ビジネスマンの心理も理解しているので、インタビュアーとして自信があるに違いありません。国際的なビジネス展開を考えているクライアントならば、うってつけです。
日本社会なら僕
同業者の宣伝をしているわけにはいきません。
純粋に日本人、日本企業、日本社会の理解、想像力であれば、ダンカンよりは僕の方が上です。ダンカンが企画した、この「ビデオ制作の新しい形」であれば、僕も大得意です。ぜったいに満足がいく作品をつくる自信があります。
信頼関係が築けるかどうか
ただし、ここに書いて来たような様々な条件が整わないと、このつくり方は成功しません。
ですから大事なことは、まずはお客様と私(弊社)との信頼関係がつくれるかどうか。私は見た目(コワモテ?)の先入観で誤解されるタイプのようですから、なかなか成立することが少ないことを、ひとまずお断りしておきます。