- 名古屋WEB動画制作所 管理人 神野富三
ふたたび動画制作の予算に関するお話
Updated: Dec 31, 2020
プロに映像制作を発注すると幾らくらい予算が必要か。
WEBに動画を掲載して、ビジネスのPRをしたいが、そのコンテンツ制作にどれだけ予算を用意すればいいか、やはりいちばん気になることでしょう。
年商が数百万から数千万円くらいの個人商店であれば動画の制作費に百万円を掛けることは清水モノだけど、年間何十億円も広告費を使う大企業であれば、TV-CMに比べれば、なんと安価な買い物だろう、とも考えます。
映像制作会社にとっても悩みです。
予算(見積り)の説明はなかなか難いし、説明してもなかなか百%理解してもらえる、ということがありません。
積算しています
ただ、これだけは言えますが、大きな制作会社でもソーホープロダクション(自営業・個人)でも、もちろん弊社のように少人数のプロダクションであっても、外注コスト(会社から出て行く経費)を積算した上で、その仕事に掛かる自社人材の労務費(+付加価値=創造性、独自性、希少性等)+自社設備・機材の償却費用(+α)+現金経費を加えた総額を制作費として見積書に書きます。だから、理由もなく利益を上乗せするとか、お客さんの懐具合を見て予算を決めているというようなことはありません。
ワンマンプロダクションとの違い
以前もこのブログに書きましたが、一人で企画、演出、撮影、編集まですべてこなしてしまう、ワンマンプロダクションであれば、出て行く経費は限りなく少ないので、見積額のほとんどは本人のギャラです。
いっぽう、企画、シナリオ、演出、撮影、編集などの作業をすべて分担して作業にあたる場合は、外注であろうと社員であれあろうと、コストはどんどんアップしていきます。さらにそこに会社としての利益を乗せるから、自ずと見積額は高額になります。
ソーホープロダクションに発注するのが一番いい?
いえいえそうとも限りません。
B2Bの映像制作案件であれば、クライアントが、組織がちゃんとした企業の場合、その動画を必要とするプロジェクト内ならびに場合によっては経営層との情報共有、合意形成、事前承認、途中確認、最終承認などに多くの時間と労力が必要です。制作会社はそのための提出書類づくりやコミュニケーションに、様々なクリエーターの職能を動員し、大きなコストを掛けます。
こうした作業を、ソーホースタイルのワンマンプロダクションで不足なく対応できることは少ないでしょう(もちろんやっている人もいると思います)。
ケースバイケース
事実、個人やショップのような代表者自身が発注者になるような動画制作の場合、その方の性格や考え方によっては、事前提案や企画の承認などの手続きを省いてもOKの場合があり、その場合、撮影収録以前(企画作業)に掛かるコストを大幅にカットできます。さらに発注先がソーホースタイルの制作会社(個人)であれば、クライアントはすこぶる安価にコンテンツを手に入れることができます。
「信頼しているか期待していないか」
企画作成・承認手続きを省けるのは、発注者と受注者の間に強固な信頼関係が予め形成されている場合か、ないしは、発注者が大きな期待していない仕事(コンテンツ)の場合のみ成立します。
動画市場では30万円程度で取引されている仕事がこれに該当しますが、こうした仕事に「企画書」や「絵コンテ」を期待するのは酷です。そのクリエーターが書類づくりや絵コンテづくりが得意であったり、苦になら無いならば問題ありませんが、それにしてもその労務を見積ったらとても制作一式30万円には収まりません。また収録の前に企画を作り、シナリオの承認を得てそれに沿った映像を作る、という仕事に慣れてい無いクリエーターも多数存在します。
省けることもあるコスト
話を戻しますが、企業が動画制作を発注する場合、予め企画案、シナリオ(+絵コンテ)が要らない、ということはまずありません。ですが、プロジェクトの性質や経緯によっては、ここに掛かるコストをかなり省ける場合もあります。
発注担当者の考え方や制作会社との関係性
によって、スタッフ構成や使用機材などを合理化したり、作業をまとめる(スケールメリットを効かせる)ことも可能です。更にはクライアント社内の協力が多い場合は、制作会社で調査、調達する要素も減り、これも大きなコストダウンにつながります。CGの製作などでCADデータやテクスチャーのサンプルがデータだいただけると仕事が早く進むのも、その一例です。
すべての案件に個別の事情がある
ことほど左様に、映像・動画制作の案件は、一件一件ぜんぶ事情が異なるので、ひとくちに「この映像だったらいくらでできますか?」と問われても、発注者の期待度、協力体制、制作期間、ご担当者の考え方などを把握した上でないと、なかなか正確には申し上げられません。
齟齬が露呈することも
漠然と競合見積りをとると、制作会社によって見積額がまちまちなのは、こうした理由です。「いちばん安価だから」と発注してみると、思いもよらない部分で齟齬が露呈することになります。
逆に、こうした事情を含めて、客観的要素を仕様書にして提示されると、たぶんどの制作会社も、概ね似た予算を提示するものです。
では、どうやって発注先を決めるのがいいのか?
やはり、いい仕事を残しているか、安心できるコミュニケーションが成立する制作会社か、という点ではないでしょうか。
予算はぜったいに先に言った方がお得
それと、見積り競合よりは、予算を示して「この予算内で、こういう効果を産みたい」とお任せいただくのが、結局一番オトクな買い物になると思います。
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