Tomizo Jinno
映像OFF『もう一つの時間』
Updated: Jun 28, 2020
海で過ぎる時間は陸(おか)のそれとは別物。
「時は金なり」
と常に労働時間の短縮(たんしゅく)が課せられ/(て)
大人になった私たちは意味ある時を過ごし/(て)
齢を重ねてきたと思っている。
思い起こすことはあるだろうか・・・
時をお金に変える社会で生きながら
お金を時に変えることはできない、
その不可逆性について。
人は必ず死ぬ。
生命は、時の流れと同じで後戻りしない。
目的意識を持って積み上げた時間にだけ意味はあるのか?
思い出は尊く(とおとく)美しいけど、
生きている今この瞬間こそが歓喜!
積み重なる時間とは別の、ただ流れ過ぎていく時間がある。
人は何かのために生きているのではない、
ただそこにあるだけと考えると心が軽くなる。
力を尽くし立ち向かっても、
決して抗 (あらが)えないものもある。
運命とか漠然としたものでなく、
海にあればどうしようもない自然のいたずらに
遭遇してしまうことがある。
乗り越えられないものもある、
なんて学校では教えてくれなかったけど、
なすすべもなく ただ身を委ねるしかないこともある。
そんなことを畏れ、覚悟し
「波間に漂う瞬間」が連なった時間。
何か起こるかも知れないけど、
何も起こらないよう手を尽くして
ただ海と空を眺めるだけの時間。
海の上で過ぎる時間はただ流れ過ぎ、
私はそこで贅沢にも時間を浪費する
もう一つの私の時間