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  • Writer's pictureTomizo Jinno

ダイヤモンドプリンセス号とビジネス映像のためのシナリオを書くという仕事

新型コロナウィルス禍

この記事を書いている今現在(令和2年2月20日)、感染は拡大を続けている。

ダイヤモンドプリンセス号、この船の入港・着岸を日本が受け入れたことが、この事件がやがて歴史の記憶になる時に、この災禍の性質を特徴づけるような予感がする。原則的に言えば、日本人乗客が大勢乗っていたとしても、外航船の入港拒否はできる。

しかし、総合的に判断すると「受け入れ」しなくてはならなかった「諸事情」を想像してしまう。


一箇所にとられてしまったリソース

このウィルスをなんとしても水際で食い止めたい時期に、3,700人もの人たちのための、検疫、防疫、検査、さらには生活物資の供給や、連絡調整などに人材、資源を投入せざるを得かったのは、日本全体のことを考えると痛いことだったかも知れない。

けれど、やらなければ仕方がない。

非常に目立つ案件のために、政府関係者、行政関係者はここに勢力を投入せざるを得なかっただろう。


第一には日本人乗客が多い

第二に米国乗客も多いこと。

もともと日本各地の港に寄港する行程で航海していたこと。

ダイヤモンドプリンセス号の生い立ちが日本に縁が深いこと(長崎の三菱造船所で建造。炎上事件で納船延期)

などなど。


責任の多重構造

いっぽう、この船の船籍はイギリスで、実際にイギリスの会社が保有している。

ところが、この船を運行する会社はアメリカ合衆国の会社(カーニバルクルーズ)、つまりこの船を動かしているのは米国企業。

ちなみに船長はイタリア人だそう。

そして、日本人の多くはカーニバルクルーズの日本法人・カーニバルジャパンが主催する旅行商品を購入して乗船している。

ただし、よくあるようにこの旅行商品はJTBなどの旅行代理店も販売している。

他の国の乗客はそれぞれの国の代理店が募集して集まった人たちだろう。 これらぞれぞれの会社がそれぞれの責任を果たすために動く・・・。

この船の上のリーダーは誰か?

通常船の上の総責任者は船長である。

大型船の船長であれば警察官と同等の強力な権限と責任がある。

ところが同時に運行会社の指揮下に置かれていて、運行会社の代理人としてその利益を守る立場にもある。


乗客乗員も国を跨ぐ

そもそも乗客は様々な国家に属する人たちで、それぞれの国に保護される(されたい)立場である。乗客となっている自国民を海外で起こっている災禍から救出する、という行動は近年、どの国の政治家も国民の人気取りのためには必須となっている。


誰の管轄なのか?

さらにいっぽう、外航船舶における管轄権については、本来「旗国主義」が原則であり、この船の場合は公海上を航行している限りイギリスにその責任と義務がある。ただし、昔はその管轄権は船の上なら常時及ぶと考えられてきたが、現代では着岸するとその国の警察権や司法権、行政権に従うという流れになってきた。


様々な立場と責任

船上の人たちをプロファイリングしていくと、こうした様々な立場や責任を負った人たちが、懸命に自身の職務や責任を果たし、クルーに至っては誠意や親切、愛情をも提供していることが想像されてくる。


シナリオを書くということ

なんだか前置きがすごく長くなってしまったけれど、企業が誰かにむけて映像をつくる時、その発信元となる人や部署が、その企業集団の中のどのような立場にあり、どのような職責を担っていて、どのような課題を抱えていて、今どのような評価を得ているのか。

そして、制作するこの映像によって、それらの状況をどのように変化させ、どのような評価に変えたいのか・・・。そういうことを想像して、深く洞察して書いていくもの、それが「シナリオ」というものです。


だから、そうした「シナリオ」を年中書いている僕は、この新型ウィルス禍において、全国各地で責任者となってリーダーシップを発揮している人の、苦悩や孤独がとてもリアルに脳裏に浮かんでしまう。 無責任な立場でコメントしたりスタンドプレーをする学者や政治家に怒りが湧き、ここしばらくは想像力がオーバーヒートしそうだなのだ。


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