Tomizo Jinno
どうしてそんなに時間が要るの?撮影
撮影には時間が掛かる
初めて映像制作を発注されるお客さんが、まず驚くのは撮影にものすごく時間が掛かることです。10分の映像なら、1時間くらいで終了するだろう!?
さすがにそれほど短い予想をする人はいませんが、せいぜい半日もあれば終わるだろうと思われることが多いものです。
1本の作品のカット数
10分の映像を完成させるためには、1カット10秒でも60カット、現実には1カットにも長短あるので100カット以上の素材を収録しなくてはなりません。
「よーい、スタート!」
「はい、カット」
「もういちどお願いします。よーい、スタート!」
「あ、すみません、今、目を瞑りましたよね。では、もう1回・・・」
なんて、やっていると1カットに10分掛かることもザラで、上手くいかないと30分とか1時間でも掛かってしまうのが、撮影という作業です。
10分の映像のための素材を収録し終えるには、企画によっては2日、3日まるまる撮影し続けることもある・・・それが私達の仕事です。
今のでダメなの?
どう見ても問題なさそうなテイク(撮影)だったのに、ディレクターは「はい、もう一回」とか言っています。「何がダメなの?」そんなことも訊きにくいような緊迫した空気に、ただ黙って立ち会っているのですが・・・。「もうすぐ18時・・・、もう終業時間なのに・・・」「残業かあ!?」とお客さんは段々苛だってきます。
よくある現象です。
ディレクターは「良かれと思っている」
良い映像を撮影して、良い映像をつくろうとしているのは、すべからく「お客さんのため」と考えているのですが、その熱意が独りよがりな空気を生み出して、まわりのスタッフさえ「もういいでしょうに・・・」となることも時にあります。ただし、イメージ通りのカットが撮影できないと、編集でやろうとしていることができない・・・、そんな切実な責任を負っているのがディレクターなので、いくらかは優しく見ていただだけたら幸いなのですが・・・。
プロデューサーの仕事
ディレクターやカメラマンが、どうして時間を掛けているか、現場にいるプロデューサーは、その理由はもちろん分かっていなければなりません。プロデューサーが「どうしてこんなに時間掛けてるの?」なんて無責任なことでは困ります。状況把握は随時行い、必要に応じてお客さんに事情を説明し、必要に応じてお詫びもします。さらに強権発動して撮影を終了させるのも、プロデューサーの責任です。もちろん映像が成立するだけのカットを収録し終えていることは大前提です。ディレクターには、映像を成立させるための別な方法を指示します。
