• Tomizo Jinno

お役人に苦言申し上げる

Updated: Aug 27

シナリオ・絵コンテ

企画書とひとことで言っても、クライアントに理解・納得いただくには、下調べや裏どりをしっかりした「シナリオ」や「絵コンテ」が必要だと言われます。BtoB映像は、クライアントのビジネスをしっかり勉強し、業界環境、市場などの理解を深めなければ制作できません。経験的に「仕様を仮定」した見積書だけでしたら、規模にもよりますが、ほんの10分もあれば作成できるものもありますが、シナリオ・絵コンテというのは、そのまますぐにでも撮影・制作可能な映像の設計図ですから、短くても数日、規模によっては1、2週間の時間を要する難儀な作業です。制作会社としては、この企画案業務を無闇に「タダ」というわけにはいきません。

でも・・・

双方に都合がある

発注者:「発注書」は見積書をもらわないと出せない

制作者:「見積書」は企画が決まらないとつくれない


制作者:「企画書」は発注をもらわないとつくれない

つまり、企画案ができていて、それに対する見積書が出来上がっていなければ、企業は映像制作案件を発注できないけれど、制作会社は発注をもらう前にタダで企画書をつくるわけにはいかない・・・というジレンマが発生します。

そこで、実際に企業や組織が映像制作会社に案件を発注する流れは、大雑把にわけると以下になります。

①企業:担当者自身で大雑把な仕様書を作成し、制作会社に提示

 →制作会社:見積書作成・提示→企業:予算決定・発注書発行→制作会社:企画作成開始


②企業:担当者が制作会社に企画書と見積書を依頼

 制作会社:企画書と見積書を作成・提出→企業:社内稟議・予算/企画承認・発注書発行→制作開始

つまり①では、BtoB映像の発注者である企業の担当者は、自身である程度の企画書をつくらないと、映像制作案件は仕事が始まらないことになります。しかし、ビジネス映像と言っても、基本ノウハウは映像技術なので、よほどの覚えのある人でないと、見積書が算定できる企画書をつくるのは難しいものです。

そこで、実際には②の流れが多くなります。

「もちつもたれつ」は過去の遺物・商習慣の変化

少し前までは②の流れは、「顧客」である取引先企業と制作会社の信頼関係に立脚したものでした。例え「今回はごめん」があっても「次で返すから」という「もちつもたれつ」という暗黙の了解によって、制作会社がけっして損をする仕組みではなかったのです。ところが、これは担当者と制作会社の「癒着」以外の何ものでもない、という見方が大勢を占めるようになり、広告業界全体でこうした「もちつもたれつ」は許されないものとなりました。

形骸化している「発注書」

「必ず発注書を発行する」というルールが始まりました。ところが、映像制作案件は上記のような理由で、制作が始まらないと全体が見えてこないもの・・・。そこで起こっているのが、納品になって初めて取り繕うように発注書が送られてくるという商習慣。まあ、これも相互信頼で成り立っているわけなので、特に目くじら立てるつもりはありませんが、担当者への信頼だけが拠り所になる取引です。つまり事実上②の仕組みで仕事は流れています。

苦言です。信頼詐欺をはたらくお役人

民間企業は今は「下請法」とか「独占禁止法」の縛りが強く、企画もそこそこに見積書、発注書といった手続きをきちんとされるのですが、地方自治体や公共団体の入札案件では、200万円程度の予算の仕事でありながら「(提案)企画費は自社(制作会社)で負担」と書いてあるものばかり。

何億、何十億というお金が動く建設関係の案件ならともかく、勝ってもほんの数十万円程度の利益しか出ない案件で、労働の対価を支払わないと宣言するのって無茶苦茶ではありませんか?

そればかりでなく、電話が掛かってきて「100万円以下なら入札になりませんから」と「差し」での発注を匂わせて、企画案、見積書を何度も提出させながら、後になってコンペにするから「仕様書もつくって」と言う輩までいるのです。他社と競合するための手続き書類をその参加業者につくらせる神経ってどうなっているんでしょう。

もちろんこちらから自主的に行う提案活動は無料で結構ですが、「企画案をつくってくれませんか」と頼まれて行う作業は、発注を前提としたものと考えます。

お役人も、多くは優秀で有能です。無茶苦茶を言わず、とてもよく動かれ、とてもいい仕事をさせてくださいます。しかし、メールで見積書を依頼してきても、返信メールひとつ返してくれないような残念な人が目立ってきた、今日この頃です。


「優越的立場の濫用」は不法です

お役所も、ある事業を行うための取引では、下請法が適用されます。

https://www.jftc.go.jp/dk/dk_qa.html#cmsQ3