制作そのものと同等、あるいはそれ以上に大変な作業が付随する仕事
たぶん企業からのオリエンテーションでは「わが社の100周年を記念する動画を提案してほしい」というテーマが与えられたのではないかと想像するけれど、それに「映像の題材には現在販売中のすべてのジャンルの新商品を入れること」とかの縛りが入ると、とたんに企画の管理作業、制作の管理作業が膨大なになります。
企業の商品開発部門はたぶん商品、ジャンルごとにチームができていて、その商品については、そのチームの長の承認を必要とするでしょう。登場する商品が10あれば、十人の責任者に内容の事前確認、できたものの承認手続きも必要でしょう。
さらに「で、わが商材については、どうやって100の文字を表現してくれるのですか?」と訊かれれば、絵コンテも添えて具体的に事前説明も必要でしょう。
それぞれの商品のコンセプトは微妙に毛色が違うでしょうし、それぞれの長の趣味嗜好も異なるわけですから、それらを寄せ集めた時の全体のトーンバランスも調整しなくてはなりません。
できあがってしまってから見せて「だめ」と言われたら、再制作になってしまうので、予算がどんどん膨らみます。そうならないために事前にイメージの擦り合わせをしておくわけですが、この擦り合わせのための資料づくりは結構なお金が掛かります。
大企業の各担当者に「偶然撮れた映像で編集します」などというわけには行かず、「必ずこういう画像を撮影して、こういう映像を作ります」と言わなければなりません。あらゆる要素を周到に検討、準備しなくてはならないからです。
いずれにせよ、どういう工程を組み立てて仕事をしようと、こうした「創作」部分が多い映像制作は、骨が折れる仕事だということは覚えて置いて欲しいと思います。