インタビューを軸にエビデンス映像
今どき鉄板となった感のある、この構成法。DSLR(デジタル一眼レフカメラ)ムービーの特性として、背景がボケて被写体の人の顔、表情がビビッドに浮き上がるので、話す言葉に説得力がでるし、撮影時間も比較的短時間で終えられる上、事前の打合せが少なくても手慣れたスタッフであればぶっつけ本番でもなんとかできることがウケているからではないかと、僕は思う。 ただ、この鉄板構成法はシンプルなだけに、本当に訴求力のある高品位な作品をつくるには、それなりのアタマと経験が必要なのも特徴。安直な取り組みも多いのもこのタイプの(映像制作の)仕事だが、この動画を始めとしていくつかの作品を公開している「関西鉄筋工業協同組合」の仕事はとっても良いなあと、僕は評価したい。 インタビューコメントはまるで「台本どおり」でありながらまったく嘘がない。そのコメント裏付ける(エビデンス)映像もとても明確だ。もちろん「鉄筋工」という仕事が、見た目にわかりやすく、非常に映像に適しているということも大切な要素だ。こういう仕事だからこそ、この構成法が生きてくるわけだ。 もうひとつ忘れてはいけないのは「みんないい顔してる」こと。ハンサムとか美人、そういうことではなく、その仕事にふさわしい経験値と自信を感じさせる顔をちゃんとしていることである。 そう、僕が鉄板構成法「インタビュー+エビデンスインサート」と呼ぶこの映像制作方法は、上記のような条件が整わない時に採ってはいけない方法だ。さらに大事なことは、インタビュアーが「人たらし」で、つい本音を素直に言わせてしまう、そういう能力も必要なのだ。だから、あんまり事前打ち合わせはしない方がいいことも多いのである。 ところで、この動画(シリーズ3本?)のうち、一本のタイトルは「鉄筋工って?【オフ篇】」。なんと、【仕事篇】でインタビューに答えていた人たちの休日の様子を見せている。オンと同時にオフも制作したのは、このタイプの仕事のリクルート企画としてクレバーだと思った。
シナリオ ☆☆☆
オリジナリティ☆☆
デザイン ☆☆☆
サウンド ☆☆☆ (※声の録音がとっても上手いと思う)
演出安定感 ☆☆☆☆