鉄道ビデオは「撮テツ」のための撮影ポイントカタログ
僕はいわゆるテッちゃんではないが、20代後半頃に国鉄民営化がありJR東海の仕事を数多くさせてもらっていた。当時は管内すべての路線を辿って撮影していたため、東海道線はもちろん、中央(西)線、高山線、紀勢線、どこにどういうビューポイントがあるか(走る列車と背景の風景の構図)は、ほとんど頭に入ってたものだ。
なかでも当時担当した、高山本線の「キハ85系」の導入、紀勢線の「キハ80系」の引退、全線での「花と列車」などをテーマにしたセルビデオは、当時の「カメラ系鉄道オタク」に絶大な賞賛を浴び、僕は実は、その世界では鉄道ビデオの名プロデューサーとして有名だったという隠れた経歴も持っている。
それもそのはず、あれらの仕事は鉄道ビデオの定番である「展望ビデオ」などの制作費とは次元の違う、今考えても破格な予算(全国ネットのCM並み)をかけ、1年間かけて何十回もロケに出て撮影した素材で30分程度の作品にしていたわけだから。
ところで、僕は昔も今も鉄道オタクでも撮りテツでもないが、列車が走る映像を見るとやはり旅情を掻き立てられる。
ここに上げた映像も、富士山が見える車窓ポイントや沿線のカメラポイントをくまなく押さえているようで、これまた「撮りテツ」の皆さんには垂涎の動画に違いない。
また、小田急ロマンスカーファンならずとも、列車の旅に出てみようかと思うだろう。
よくロケハンされている(というより、長年おつきあいのあるプロダクション、カメラマンさんなら頭には入っている)し、好天で撮影できた素材だけで編集しているところを見ても、制作関係諸兄の熱意が伝わる1本だ。
シナリオ ☆☆
オリジナリティ☆☆
デザイン ☆☆
サウンド ☆☆
演出安定感 ☆☆☆