Tomizo Jinno

Dec 4, 20214 min

映像制作用語辞典「あ」で始まる篇

アイリス
 
カメラの「絞り」のこと。近年の自動露出調整のカメラでタイムラプス撮影をすると、自動調整で勝手に絞りが変わるので注意が必要。「アンダー」とか「オーバー」で収録してしまった映像を、編集で直そうとしても無理です。
 

 
アウトフォーカス
 
意図的におこなうピンボケ状態のこと。演出意図のないピンボケはただのNGカット。大切な撮影は、必ず大きめのモニターで確認しながら行いましょう。
 

 
あおり
 
カメラのレンズを下から上に向けて近距離から捉える画像のこと。レンズの周辺が歪むことを利用して、印象的な画像をつくる。
 

 

 
スタッフや出演者を拘束する場合に、雇用者側(プロダクション)が支払う食事代のこと。「顎足枕」と連ねて使用することが多く、食費・交通費・宿泊費を指す。契約前にきちんと確認しておかないと、ギャラからアシが出ることがある。
 

 
アーカイブ
 
保管された映像コンテンツのこと。20世紀の終盤「映像の20世紀」のためにNHKが全国、全世界から集めた映像アーカイブが、この用語を定着させた。
 

 

 
「顎足枕」の足。交通費のこと。自家用車で移動する場合は、燃料費や有料道路代だけでなく、車両の使用料もいただきましょう。
 

 
アスペクト比
 
画面の縦横の比率のこと。近年のフルハイビジョンは16:9だが、20世紀は4:3であった。
 

 
アテレコ
 
アテるレコーディングの略。映像の中で出演者がしゃべっている言葉を、別な国語に翻訳して差し替える録音作業のこと。声優は、画面の役者の口元をみながら、可能な限り違和感のないテンポで喋るが、翻訳原稿を作成する翻訳者の力量が大きい。
 

 
アニメーション
 
イラストやペインティングに限らず、粘土細工や紐などを少しずつ動かして捉えた静止画像を、連続的につないで、動きを表出させる技法のこと。
 

 
アフレコ
 
After Recording アフターレコーディングの略。出演者がある「同録」できなかった撮影(収録)した映像に対して、後でその出演者の口の動きに合わせて、本人あるいはべつな人が、しゃべって録音する作業のこと。
 

 
粗編集
 
大雑把に行う編集のこと。ノンリニア編集の現在では、「本編集」に対する「粗編集」という作業を行っている人は少ないと見られる。
 

 
アルファチャンネル
 
透明なレイヤー画像のこと。人物や被写体の背景を合成するときになどに使われる。
 

 
RGB
 
テレビやモニターは、R赤G緑B青の3色のドットの光量を調整して、さまざまな色や明るさ、暗さを再現しています。
 

 
インサートカット
 
映像の途中に、別な映像(インサートカット)を差し込むことで、主たる映像の意味をよりわかりやすくする。
 

インターレース
 
プログレッシブが1枚の画像ならば、インターレースはその半分の情報の画像を2枚連続させることで完全な1枚の画像を表出する技術。
 

 
板つき
 
緞帳が上がると、脚本に指定された場所に役者がすでに立っていること。転じて、シーンの始まりカットで、すでにそこに出演者が立っていること。
 

 
SE
 
Sound Effect サウンドエフェクトの略で、効果音のことです。近年はモーショングラフィックスの動きに「ピューン」とか「ピコ」とか入れる音効さんが多いが、僕はこれをすべて「要らない」と断っています。映像に対して効果的でないばかりか、安手のゲームのようだからです。
 

 
SD
 
Standard Definitionスタンダードディフィニションの略。解像度は640×480ピクセルないしは720×480ピクセル。20世紀終盤まで主流であった。
 

 
NTSC
 
National Television System Committee(全米テレビジョン放送方式標準化委員会)の略で、FHD以前、日本、アメリカなどで採用していた、いわゆるアナログ放送の規格である。
 

 
HD
 
High Definition のハイディフィニションの略。解像度720×1,280ピクセル。現在の主流であるFull High Visionは1,920×1,080ピクセル
 

 
AD
 
Assistanto Director アシスタント・ディレクターの略。正確にはディレクター(演出)の補佐だが、現場のスタッフの多くが、自分の補佐と思ってパシリに使われることが多い。


 
AP
 
Assistant Prodhucer アシスタント・プロデューサーの略。プロデューサーの補佐だが、そもそもプロデューサーの仕事がなんであるか理解している人が少ないので、その補佐が行う仕事は組織によってぜんぜん異なる。
 

 
MA
 
Mixing AudioとかMastering Audioの略と言われるが、定かではない。映像装置と同期運転できる録音設備を備えたスタジオで、映像を見ながらナレーションやセリフなどの喋りを、タイミングを合わせながら録音することを言う。音楽や効果音なども映像に合わせて、音量調整しながらミックスして、映像につける音声を完成させることができる。
 

 
押す
 
予定の時間に対して進捗が遅れること。押してきたらすることは「巻く」である。
 

 
オフライン
 
オンライン編集に対するオフライン編集のことを言う。テープ編集時代、オリジナルやマスターテープの損傷を避けるため、コストが掛からないVHSテープなどにコピーして行った編集のことをこう呼んだ。ノンリニア編集のプロキシ編集のようなもの。
 

 
オンリー
 
ナレーションオンリーのこと。セリフや喋りを「同録」した後で、顔出ししないシーンでの喋りを、映像を生かさないことを前提に収録すること。