Tomizo Jinno

Nov 20, 20233 min

「共有」再考

Updated: Dec 11, 2023

「共有」があたりまえ

近年のビジネスや組織運営において、スタッフ間、協力者間とのコミュニケーションの半分以上がe-mailで行われている感があります。もちろんIT系の組織であれば、独自のチャットアプリやサーバーを介してのデータのやりとりの方が多いかも知れません。このインターネットを使う情報交換方法の大きな特徴が「共有」という機能を持っていることです。大半の情報が複数の人たちに同時に伝達されています。
 
なぜこの「共有」が行われるのでしょうか?
 

 
報告と承認手続き
 
会社や組織の上司の指示や管理下で行われている業務は、与えられた職務に関する利害関係者とのやりとりを上司に伝える(同時送信する)ことで日々の報告代わりにして、報告した(これを「共有」と呼ぶ)時点で上司がその進捗を把握、承認したことにするためです。あるいはチーム員に同時送信することで、メンバー全員がその内容を理解し、反論・異論が返信されなければ、その進捗はチームに承認されたことにして、次のステップに進むためです。
 

 
ほんとうに読んでいますか?
 
想像してしまうのですが、社員、主任、課長、部長、担当役員・・・というような一般的な組織階層でこの「共有」が行われると、大企業であれば課長くらいの立場は、一日中部下のメールに目を通していなければならず、それらに返信メールでいちいち意見や指示を与えるのは、物理的に不可能だと思います。また、部長への報告はどのような方法で情報把握して、どうやって報告しているのでしょう?

共有メールを受け取ったが最後、その文面に部下の悪い対処があったとしても、それに気づかずに「承認」したことにされていないでしょうか?
 
僕なら部下に「メールした(共有)したはずですが・・・」と言われたら「そんな大事なことは、直接言え!」と、言いますが、みなさんの会社ではどうなんでしょう。
 

 
中間管理職はつまらない?
 
最近の週刊誌や新聞(SNSだったか?)で、課長の成り手がいない、昇進したがらない社員が多いという記事を読みました(斜め読み!)。メールチェックに忙殺され、「共有」という仕組みで責任だけ押し付けられ、それまでに身につけた技能が無意味になるのが耐えられないのかも知れませんね。
 

 
対面での情報共有と何が違うのか
 
ひと昔し前であれば、ビジネスにおける共有とは会議やミーティング、上司への報告などで対面で行われる情報交換、伝達でした。対面での情報交換・伝達と、ネットによる共有の大きな違い、それは、前者は相手に合わせて力点や視点を変えた言葉で伝えますが、後者はすべての共有者が同一の情報を受け取ることです。
 
情報というものは、受け手のもつ情報量や立場、環境によって、受け取る意味が違ったり、理解できなかったりしますから、多くの「共有される同一情報」は、実は実質的には多くの伝達先ではほとんど(その意味を)共有していないと言ってもいいと思います。

一般用語にさえなった「共有」
 
「共有」は、完全に一般化した言葉として定着していて、普通の生活の場面でさえ使う人が多くいます。しかしこの、実は意味を成していない、いわば免罪符のようなコミュニケーション方法について、そろそろ社会がその問題点に気づいてもいいのでは?
 
と思う今日この頃です。
 

 
B2B・PR映像は対面コミュニケーション
 
弊社が生業とする、B2BのPR映像制作というのは、訴求対象(企業やユーザー)に対して可能な限りカスタマイズ(「事実」をより効果的に伝える)をすることで、訴求効果を最大化しています。つまりネットで公開する映像であっても、対面コミュニケーションと同等の効果を生む映像をつくることが、弊社の使命だと考えています。
 

共有とは